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山田哲人内野手・チームを上昇気流に乗せるトップバッター

 



 迷いなく振り切った。5月19日のDeNA戦(神宮)の初回先頭。山田哲人は、久保が投げた内角低めの速球を左中間へ運んでみせた。「テンポ良く投げてくる投手なので、立ち遅れないことを意識して積極的にいきました。(先頭打者アーチに)こだわりはないですけど、一番気持ちがいいです」。今季2本目の初回先頭打者弾で、飯田哲也青木宣親に並ぶ球団歴代3位の通算8本目。リードオフマンの一発がチームを勝利に導いた。

 山田のバットが火を噴けば、打線が活性化する。真中監督が「山田が先頭で出てくれると、チームも勢いに乗れる。大きな存在」と認めるように、22歳がムードメーカー的役割を担っている。

 昨季は日本人右打者では歴代最多の193安打を放ったが、今季は他球団から研究されたことで苦しんできた。執しつ拗ように攻められる内角を意識するあまり、外角のボール球にも手を出すなど、調子を崩していった。そんな山田に比例するように、昨季はリーグトップのチーム打率.279を誇った打線も、今季は貧打にあえいできた。

 それでも、休養日に杉村チーフ打撃コーチとティー打撃を行うなど、必死でもがいた。「相手のことを意識し過ぎて、去年までだったら振らないボールにも手を出してしまっていた。自分のスイングをすることだけを考えます」。悩みごとだらけだった頭の中を整理できたことで、徐々に復調。5月4日のDeNA戦(横浜)から16日の巨人戦(東京ドーム)までチームは9連敗を喫したが、その間も自身は3本塁打を放つなど気を吐いた。

「自分もチームもこれからだと思っています」。調子を取り戻した背番号23が、チームを上昇気流に乗せる。
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