第1回の球宴中間発表。先発投手で堂々のセ・リーグ1位にランクインしたのは黒田博樹だった。メジャーからの高額オファーを断り、8年ぶりの日本球界復帰。その決断は「男気」と称され、日本全国の注目を浴びた。14年12月の決断から半年。黒田は日本球界でも結果を残し続け、トップの票を集めた。「見てみたい」。それがファンの当然の心理だろう。発表を受けて黒田も「野球人としてありがたい。票を入れてもらえるのは、いい励みになります」と笑顔だった。

　黒田は交流戦前までで3勝2敗、防御率3.35。右足首付近の故障があって1度は出場選手登録を抹消されたが、その存在感は圧巻だった。メジャーで磨きを掛けたツーシームを軸に、凡打の山を築いた。左打者の内角ボールゾーンからストライクゾーンに変化させる「フロントドア」は球界を震撼させた。他球団は対応に躍起になり、ツーシーム取得を目指す投手も多かった。それほどの影響力だ。パワーもあるパ・リーグのスター選手との真剣勝負は華やかになるだろう。

　メジャーでの球宴出場はないが日本ではファン投票で選出された05、07年を含め4度出場した経験がある。だが「僕は8年遠ざかっているので、新たな気持ちで見てみたいですね」と新しい経験として出場に意欲を示した。とはいえ球宴まではまだ期間がある。残りの試合に向け、中間発表1位は新たなモチベーションになった。

「票を入れてくれた方のためにも、1試合1試合、1球1球を目いっぱい投げていきたい。もう1度自分の頭の中にたたき込んでおきたい」。8年ぶり5度目の球宴へ。黒田は1球に魂を込める。ファンの心を揺さぶる投球が、続いていく。