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中川大志内野手・プロ7年目で覚醒した和製大砲

 



 10勝8敗で2年ぶりの勝ち越しで終えた交流戦。プロ7年目で、6月8日に25歳の誕生日を迎えたばかりの中川大志が、輝きを放った。打率こそ.242だったものの、4本塁打、11打点はチームトップ。長距離砲としての魅力を多くのファンに見せることのできた3週間だった。

 本拠地で行われた5月31日の巨人戦。3対3の同点で迎えた延長10回。先頭で打席に立ち、マシソンの152キロ直球を迷いなく振り抜き、左翼席にたたき込んだ。「ホームランを打てて良かった」。この一発を含め、巨人との3連戦では全試合で打点を挙げた。2006年以来、9年ぶりの巨人戦勝ち越しに大きく貢献した。

 勢いはさらに続いた。神宮で行われた6月4日のヤクルト戦。左腕・成瀬のチェンジアップを第1打席は右翼席に、第2打席は左翼席に運んだ。一軍での2打席連発はもちろん初めて。大久保監督に「打席の入り方、ボールの待ち方も良かった。今日は満点」と言わしめた。

 巨人戦でのサヨナラ弾で、最もインパクトのあるサヨナラ打を放った選手に贈られる「スカパー!サヨナラ賞」(5月度)を受賞。賞金30万円を手にした。年俸630万円の中川にとっては大金。目録を受け取り「使い道は考えていません。嫁と相談して何か買ってもらいます」と小さく笑った。

 伸び悩み続けて、ようやく花が開きつつある25歳。「1打席、1打席、気持ちを切り替えて打席に向かうことができている」と充実感いっぱいの表情を浮かべる。強烈な印象を残した交流戦からリーグ戦へ。チームの浮上に向けて待望久しかった和製大砲が、欠かせない存在になってきた。
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