黒田博樹らしさを散りばめた。交流戦は3試合に登板し3勝無敗、防御率0.84。チームが鬼門としてきた交流戦で結果を残し、09年以来の勝率5割以上へと導いた。チームが挙げた9勝のうち、3勝が黒田の手によってもたらされた。男気ばかりがクローズアップされるが、交流戦の投球には黒田の技術が詰まっていた。ただ黒田自身は「マウンドに上がるのはしんどいし、大変」と、いつもと変わらない言葉を並べている。
対戦がないパ・リーグの球団は情報集めに躍起になっていたはずだ。これまで黒田が登板したデータとにらめっこしただろう。ただ黒田はそれをあざ笑うようにかわしていった。思い切りが良く、パワーも備わったパ・リーグの打者を、変幻自在の投球で打ち取った。ツーシーム、カットボールのムービングファストボールに意識付けさせながら、スライダーやスプリットを多用。捕手の石原が「どの球も使えた」と振り返るように、攻めのバリエーションは多岐にわたった。3試合で4死球を与えたように、内角への投球にも躊躇はない。交流戦終了時点で、初戦の
オリックス戦の5回から17回1/3を連続無失点中とゼロを並べた。
黒田の投球に刺激されるように、打撃陣も奮起した。交流戦最終登板となった6月12日の
ソフトバンク戦。打線はヤフオクドームでは球団史上初となる3本の本塁打を放つなど、6点を奪った。緒方監督が「黒田が本当に気迫のこもった投球をしてくれた。野手陣も助けようとよく打った」と振り返ったように、野手陣には「黒田さんをラクに」という強い気持ちが生まれている。黒田はこれからどう変化していくのか。野手との相乗効果とともに楽しみだ。