週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

下園辰哉外野手・監督が信頼を寄せる代打の切り札

 



 日ごろの粉骨が報われた。「チームのみんながつないでくれた。本当に根性だけです。感謝したいですね」。DeNAが連敗を12で止めた、6月23日の巨人戦(東京ドーム)。ヒーローインタビューに招かれたのは生え抜きの9年目、下園辰哉だった。6回に2点差を追いつき、なおも二死満塁のチャンスで代打起用された。巨人は高木勇人から左腕の戸根千明にスイッチ。「代打の代打かと思ったけど、そのまま使ってくれた。うれしかったし燃えました」と中前へ決勝打を落とした。

 規定打席に到達したのは2010年の1度だけ。左のピンチヒッターとして重宝されてきた。もともと選球眼に優れており、68試合に出場した昨年の出塁率は.371。打率が.277だから、いかに貢献しているかは言うまでもない。ベンチで戦況を見守る時間が長く、じっくりと相手投手の特徴を研究。下園本人は「雰囲気づくりを大事にしたい。たとえ失敗しても、選手同士で『OK、OK』と言い合えるように」と心がけているが、実際に発する言葉にも効果があるようだ。

 11月に31歳を迎え、年下の選手が多くなった。「後悔する打席をつくりたくない」との信念があり、打席での思い切りや割り切りなど、後輩への助言には説得力がある。選手会長3年目。控え選手の心情も痛いほど理解し、オフの契約更改では、勇気を持って球団側に評価システム改善を訴えかけた。今季は5月14日に一軍昇格。中畑清監督が「何かあったときには本当に頼りになる」と表現するとおり、梶谷隆幸の離脱時には三番に入って穴埋め役を全うした。チーム屈指のイケメンで心優しき兄貴分。いてもらわなければ困る大きな存在だ。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング