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館山昌平投手・復活を果たした不屈の男

 



 ついにこの男が神宮に帰ってきた。7月11日のDeNA戦。満員の3万1027人の観客が詰めかけた中、館山昌平は6回1安打1失点に抑える文句なしの投球を披露。12年9月25日の阪神戦(神宮)以来の白星をつかんだ。「長かったですね。本当にすみません。遅くなりました! やっぱり、勝つっていいですね」と1019日ぶりの勝利の味をかみしめた。

 勝利を意識してマウンドに上がった。右ヒジじん帯再建手術からの復帰登板となった6月28日の巨人戦(神宮)では、5四死球を出すなど5回途中7安打4失点。「戻ることができて幸せだった」と振り返るが、内容は満足いくものではなかった。だからこそ「イベントは前回で終わり。勝負に徹しようと思っていた」。直球、カットボール、シュート、フォークとあらゆる球種を操り、相手を手玉に取った。「一軍で勝負する雰囲気は見せられたかな」と手応え十分の80球だった。

 これまで3度の右ヒジじん帯再建手術を含め、通算7度の手術を受けた。151針もの手術跡が全身に残っている。それでもはい上がってこられるのは、ケガで苦しむ若手の見本になるためだ。「チームにも手術をしたけどなかなか投げられない選手もいる。由規や杉浦もそうですけど、彼らにしっかりとしたリハビリをすれば、一軍のマウンドに戻れるんだというのを見せたい」。その姿を体現するために過酷なリハビリにも耐えてきた。

 真中監督は「後半戦も中10日から2週間は空けるつもり」とヒジの状態を考慮して間隔に余裕を持たせる方針のため、登板機会は限られる。だが「投げる試合は全部勝ちにいくつもりでいきます」と言い切る男の存在感は、後半戦を戦う上で大きな追い風になるはずだ。
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