ハイレベルな争いを制して、
柳田悠岐が初タイトルをつかむ。今季はシーズン前半から、
西武・秋山と3割台後半の打率で高次元のデッドヒートを続けてきた。球宴前後に一時調子を落とし、7月末には最大2分3厘差まで差を広げられたものの、8月14日の
オリックス戦(ヤフオクドーム)で今季2度目の4安打を放ち、39日ぶりにトップに返り咲き。その後、抜きつ抜かれつ、戦いは継続しているが、ラストスパートで追い抜き、初のタイトルをもぎとる。
豪快なアーチを量産し、ホームランアーティストとして全国に名をとどろかせているだけに、リーディングヒッターとなればその価値はさらに高まる。シーズン200安打超えも確実視されている秋山には安打数こそ大きく水を開けられているが、柳田が首位打者争いを続けている理由の一つに、四球の多さがある。今季は6月の
DeNA戦(横浜)でスコアボードを破壊する推定150メートル弾を放つなど、そのパワーは相手投手にとって脅威以外の何物でもない。外国人打者ばりに勝負を避けられるシーンも多く、四球数はリーグダントツ。シーズン中盤からは内角へ厳しいボールを投げられることも多く、死球数も2ケタを超えた。
そんな中で柳田が強く意識し実践しているのが、「甘い球をいかに逃さないか」だ。全球フルスイングが持ち味だが、豪快なスイングでも甘い球だけは確実にとらえることを自らに課し、それをシーズンを通して継続しているだけに高い打率をキープできている。
ヤクルト・山田と同じくトリプルスリーを狙い、パワーとスピードをこれでもかと全国にアピールしてきた柳田が、初のタイトルも獲得しその価値をさらに高める。