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小川泰弘投手・山あり谷あり。それでも不可欠な存在

 



 苦悩を経て、真のエースへと成長を遂げた。昨年に続き2年連続で開幕投手を務めた小川泰弘は、9月2日の巨人戦(金沢)で後半戦6連勝となる10勝目。2年ぶりに2ケタの大台を突破した。

「通過点ではありますけど、10勝できて良かったです。チームも勝利して、自分にも勝ちがついたことは大きいです」

 だが前半戦はプロ3年間で最も苦しんだ。4月3日のDeNA戦(横浜)で初勝利を挙げるなど、開幕から6試合は3勝0敗と順調なスタートを切ったように見えた。しかし、5月9日の中日戦(秋田)で今季初黒星を喫すると、6月23日の中日戦(岐阜)まで2カ月もの間、勝利から見放された。

「苦しかったですね。周りには勝ちがつくのに、自分にはつかないわけですから。打ち込まれるわけですし、弱気になっていた部分もあったと思います」

 原因は下半身主導のフォームで投げられなかったこと。本来は下半身が粘って低い体勢からボールをリリースすることで、打者から浮き上がってくるように見える直球が最大の武器だったが、それができていなかった。

 もうひとつはテンポの悪さだ。真中監督から「エースと言われる投手はみんなテンポがいいし、クイックや投げる以外の部分もしっかりやってほしい」と指摘された。そこから「これだけテンポアップして投げているのは初めて」と言うほど、課題に取り組んだ。しっかり修正して臨んだ後半戦は7勝2敗(9月24日現在)と完全復活を遂げた。

 目指すは14年ぶりのリーグV、そして日本一だ。

「投げる試合は全部勝ちたい」

 エースの風格をまといつつある。
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