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第97回全国高校野球選手権大会岡山大会

 

創志学園・高田萌生
甲子園にあと一歩届かず無念の準優勝


 横浜高(神奈川)時代の松坂大輔(現福岡ソフトバンク)に投球フォームが似ており、「松坂二世」と呼ばれる。偶然の産物ではない。松坂の投球映像を繰り返し見てマネしてきた。グラブをゆったり掲げるワインドアップも、右足1本での美しい立ち姿も、フォロースルーもそっくりだ。

「調子が悪いとき、映像を見てきました。全身を使ったフォーム、躍動感のあるフォームを学びました」

 2年生ながらMAXは150キロ。178センチ72キロとまだ線が細い。松坂が力感あふれるフォームだったのに対し、高田はしなやかな印象だ。それでも球速を出せるのは、下半身のバネに秘密がある。なにしろ昨秋には50メートル6秒4だったが、半年で陸上選手レベルに達している。

「いまは5秒9です。短距離ダッシュを結構やってきたので、その結果かなと」

 誰もが超せない「6秒の壁」をやすやすと超えるポテンシャルがある。

 冬場には長距離も毎日10キロを走り込んだ。下半身を鍛えることで、力むと体が早く開いてしまうクセを克服、球のバラつきが減った。

 この夏、県大会の全5試合で先発。直球だけに頼らず、緩いカーブやチェンジアップも駆使。準決勝までの4試合で1失点という完璧な内容だった。しぶとい倉敷商打線も、124球を投じ、1対0で完封した。

 そして翌日の岡山学芸館との決勝。この日は直球にいつものキレがなく、変化球でかわしつつ、7回まで無失点に切り抜ける。だが、3対0で甲子園が近づいた8回表、4本の長短打を浴びて3失点。3点目は痛恨のワイルドピッチだった。

「踏み出すときに左足のかかとがマウンドにひっかかって……。精神的にも、体の疲れもピークでしたが、気持ちで乗り切ろうと思いっきり腕を振りました。8回を乗り切れなかったのが、自分の弱さです」

岡山学芸館との決勝で敗退した創志学園。2年生エース・高田がチームをけん引したが、甲子園にはあと1勝届かなかった。来年はドラフト候補として騒がれるに違いない[写真=松村真行]



 走り込んで鍛えた下半身も、炎天下の連投で限界に達していた。130球で8回途中に降板し、3年生投手に後を託す。その裏、味方が2点を挙げ5対3と勝ち越すものの、9回に3点を奪われて逆転。5対6で敗れた。試合後・・・

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