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東都大学一部二部入れ替え戦

 

駒大・今永昇太との“プロ対決”を制して「有終の美」を飾った男の涙


 今秋の東都リーグ一部二部入れ替え戦は、二部優勝の東洋大が一部6位の駒大を2勝1敗で下し、7季ぶりの一部昇格を決めた。東洋大・高橋昭雄監督はホッとした表情で「(二部での戦いが)長かったからね。4年生は1年秋に二部に降格した学年。一部に戻して卒業したいという気持ちが強かったんじゃないかな」と選手をねぎらった。

 11月7日の1回戦はドラフト1位投手同士の対決。横浜DeNAから指名された駒大の左腕・今永昇太(4年・北筑)と、東京ヤクルトから指名された東洋大の右腕で主将の原樹理(4年・東洋大姫路)の投げ合いで、試合は7回まで0対0のまま進んだ。駒大は8回、一死一、三塁から米満一聖(2年・敦賀気比)のスクイズで決勝点をもぎ取り、1対0で勝利。今永は9回を3安打12三振で完封。12個の三振のうち11個を伸びのある直球で奪った。原は直球とスライダーのコンビネーションで8回まで投げ、5安打8三振、1失点(自責点は0)で敗れた。

 雨で1日順延された2回戦は、東洋大が15安打を放って8対4で雪辱。今永は登板しなかったが、原はこの日も2点リードの5回一死三塁からマウンドへ。8安打を打たれて3失点した。だが、それは味方のリードがあったため、翌日の登板を計算しながらの投球だった。1回戦で多投しなかった武器のシュートやフォークを多めに投げ、内野ゴロを打たせた。これが、3回戦への布石となる。

 3回戦は再び今永と原が投げ合った。東洋大・高橋監督は原の先発起用をためらっていた。原は「投げたい。先発しないと、ここまで何のためにやってきたか分からない」と思っていた。そんな原の気持ちを察した井上大コーチが「先発で行きたいか?意地でも投げたいか?」と原に確認。原は胸の内を正直に打ち明け、先発起用が決まった。

 東洋大は、中2日で先発した今永を攻略し、11安打を浴びせた。今永は6回途中9失点で降板。3連投の原は140キロ前後の直球とスライダー、シュート、フォークと多彩な投球。駒大打線に的を絞らせず、4安打1失点で完投勝利を挙げた。

 一部昇格が決まった瞬間、マウンドの原にガッツポーズも笑顔もなかった。帽子を目深にかぶり直し、顔を覆った・・・

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