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ホームラン以外のプレーでリプレイ映像を確認しないのは、なぜ?

 

きわどいホームランの判定の場合は、VTRで再生して確かめますが、それ以外のプレーはなぜ、VTRで確かめないのですか。

 VTRでリプレイを再生して判定を確かめるのは、日米ともに禁止されているからです。

 4月16日の巨人阪神戦(東京ドーム)で映像を確認してホームランかどうか、確かめたことがありました。7回表の阪神の攻撃で、先頭打者として登場した代打の坂克彦の打球は、右翼ポールまで飛んでいきました。審判はファウルと判定しましたが、阪神の和田豊監督から抗議が出たので審判団はVTRを再生して確認しましたが、結論はやはりファウルでした。

 リプレイで確かめるのはホームランの場合に限られるのです。セ・リーグのアグリーメントの第10章の38条に、リプレイ映像の使用について定められています。

 まず「リプレイ映像の使用は、ホームランか否かの判定に疑義が生じた場合に限る」。すなわち、フェンス際で打球がフェンスを越えたかどうか、両翼ポール付近の打球が、フェアかファウルか、観客が打球に触れたかどうかなど、審判員がジャッジするに難しいホームランあるいはホームラン性の打球を対象にするというのです(パ・リーグのアグリーメントも同趣旨)。

 しかも「リプレイの映像は、当該試合の責任審判員が必要と認めた場合に限り使用する」とありますから、抗議を受けたらすぐにリプレイを再生するものでもないのです。

 また「リプレイ映像の使用は、12球団の使用球場およびほっともっとフィールド神戸のみとする」ともあります。設備不完全な地方球場ではたとえ抗議があっても、リプレイの再生は受け付けられないのです。

 アメリカでは昨年11月末のGM会議で、本塁打判定に限定されているビデオ判定の適用拡大が議題となり12月のウインターミーティングに持ち越されましたが、結論は出ないままで終わっています。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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