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浅いフライを追った左翼手は転倒しながら打球をつかんだと見えましたが、次の瞬間、ボールはグラブからこぼれました。三塁の塁審は両手を広げていますが、二塁塁審は捕球後の落球としてアウトの宣告です。同じ打球に2つの判定が下されたときには、どうしたらよいでしょう。

 同じ打球に異なった判定が下された場合の処置については、球審および塁審の任務を述べている野球規則9.04の(c)項にあります。「一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーをまじえず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決にあたるようにリーグ会長から選任された審判員)が、最適の位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する。このようにして決定された裁定は最終のものであり、初めから一つの裁定が下された場合と同様に、試合は続行されなければならない」 したがって、問題の場合は、その後の審判団の処置に任されます。08年8月28日の巨人-横浜戦(東京ドーム)で差し違いがありました。

 5回一死一塁で巨人の坂本勇人が右前打したときです。右翼の吉村裕基から遊撃の石川雄洋に返球される間に坂本は二塁を狙いかけましたが、あわてて一塁に戻りました。きわどいタッチプレーになりましたが、一塁塁審はセーフ、球審はアウトを同時に宣告しました。 そこで審判団は協議した結果、セーフとなりました。横浜から抗議が出ましたが、アウトをセーフに変えた球審は「塁審の方が近かったのでそちらの方が正しいんじゃないかということでセーフにした」と語っていました。

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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