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打撃妨害を受けながらの安打、優先されるのはどっち?

 

走者一塁で打者は右前安打を放ち走者一、三塁となりましたが、打つ際にバットが捕手のミットに触れていました。この場合、打者は打撃妨害出塁になるのでしょうか、それとも安打が優先されるのでしょうか。

 安打が優先されます。6.08には、打者に安全に一塁が与えられる規則が並べられていますが、その(c)に「捕手またはその他の野手が、打者を妨害(インターフェア)した場合」とあります。捕手のミットが打者のバットに触れれば、打撃妨害で打者には一塁への出塁が許されるのです。

 この規則は続きます。「しかし、妨害にもかかわらずプレイが続けられたときには、攻撃側チームの監督は、そのプレイが終わってただちに、妨害行為に対するペナルティの代わりに、そのプレイを生かす旨を球審に通告することができる。ただし、妨害にもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、しかも他の全走者が少なくとも1個の塁を進んだときは、妨害とは関係なく、プレイは続けられる」とあります。

 05年4月24日の横浜‐阪神戦(横浜)で、阪神が3点リードの8回表無死一、三塁で、赤星憲広が左前打を打ちましたが、低めのスライダーを打つ直前に、バットが横浜の相川亮二捕手のミットに触れていました。相川は「外角を要求したのに逆球がきて、あわててミットを出したら当たってしまった」と語っていました。三塁走者は得点し、一塁走者も進塁していますから、プレイはそのまま続けられました。

 この規則の前段にある監督が選択する場合とは、一死三塁で、打者が打撃妨害されたにもかかわらず、外野に飛球を打ち捕球され、三塁走者が得点した場合などです。この場合、攻撃側の監督は、打者アウトで三塁走者の得点を記録するのと、走者三塁、一塁(打者が打撃妨害で出塁)のどちらかを選べるということです。

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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