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一塁上の走者に打球が当たってしまった場合の処置は?

 

走者一塁で打者は痛烈な一塁ゴロを打ちましたが、打球は一塁手が処理する前に塁上の走者に当たってしまいました。走者は避けようとしたのですが、当たってしまったのです。この場合の処置はどうなりますか。

 走者アウトで打者には安打が記録されます。走者アウトを述べている規則7.08(f)にこうあります。

「走者が、内野手(投手を含む)に触れていないか、または内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールに、フェア地域で触れた場合。この際はボールデッドとなり、打者が走者となったために次塁への進塁が許された走者のほかは、得点することも、進塁することも認められない」

 さらに同規則の[注1]に、

「打者の打ったフェアボールが、野手に触れる前に走者に触れたときは、走者が守備を妨害しようとして故意に打球に触れた場合(併殺を行わせまいとして故意に打球を妨害した場合を除く)と、走塁中やむなく触れた場合との区別なく、走者はアウトとなる」

 と念を押しています。

 打者の記録については、安打の規則である10.05(a)の(5)にこうあります。

「野手に触れていないフェアボールが、走者、審判員の身体または着衣にフェア地域で触れた場合。(以下略)」

 塁上はフェア地域ですから打者には安打が記録されます。

 走者の不注意で打者は得した例ですが、損する場合もあります。走者がベースを踏まずに封殺されたときです。これで一番損したのは56年の西鉄の中西太です。この年、わずか5毛差で首位打者を同僚の豊田泰光に譲りましたが、4月3日の高橋戦(水戸県営)で、8回走者一塁で右前打を打ったのですが、代走の走者が二塁を踏まずに三塁へ進んだのでアピールアウトになったのです。この安打が生きていれば、中西は豊田に2厘差をつけ首位打者でした。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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