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ファウルフライを追った捕手が次打者にぶつかり捕球できなかった場合の処置は?

 

捕手はファウルフライを追ってベンチ前まで追いかけましたが、その途中でネクストバッタースボックスに立っている選手とぶつかり、簡単に捕球できると思われたこの打球を捕球できませんでした。次打者に妨害しようとする意図はなく、衝突しないように逃げようとしたのですが、間に合わなかったのです。こうした場合、どう処置すべきでしょうか。

 打者にアウトを宣告すべきです。野球規則7.11の前文に

「攻撃側チームのプレーヤー、ベースコーチまたはその他のメンバーは、打球あるいは送球を処理しようとしている野手の守備を妨げないように、必要に応じて自己の占めている場所(ダッグアウト内またはブルペンを含む)を譲らなくてはならない」

 とあります。さらに続けて

「走者を除く攻撃側チームのメンバーが、打球を処理しようとしている野手の守備を妨害した場合は、ボールデッドとなって、打者はアウトとなり、すべての走者は投球当時に占有していた塁に戻る」

 とあります。

 72年9月10日の西鉄-近鉄戦(平和台)の7回裏、西鉄の攻撃のときです。代打に起用されたポインターが一塁側の西鉄ベンチにファウルフライを打ったので、近鉄の岩木康郎捕手が追いかけました。そのとき、ベンチ前で素振りしていた次の次の打者の基満男とぶつかって捕球できません。ポインターはチームメートの守備妨害の責任を取らされ、アウトが宣告されました。

 規則3.17の[注1]に「次打者席には、次打者またはその代打者以外入ってはならない」と決められています。いまでは次打者以外はベンチを出てはならないという規則が厳しく守られていますが、当時はこの規則はあってもルーズでした。次打者以外に2人も3人も、試合中にベンチ前に出てスイングの練習をするのが当たり前になっていたのです。当時はこのような規則違反も当たり前でした。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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