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三塁線へのゴロ。球審と三塁塁審が異なるジャッジを下した場合の処置は?

 

一死一塁です。三塁線の打球を三塁の塁審はファウルと判定しましたが、球審はフェアの宣告です。打者は三塁塁審の宣告を見て走るのをやめたので、三塁手から二塁、一塁と送られたボールでダブルプレーとなりました。この場合はどちらの判定を取るべきなのでしょうか。

 2人の審判が異なる判定を下した場合の処置については、規則9.04(c)に述べられています。

「一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーをまじえず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決に当たるようリーグ会長から選任された審判員)が、最適な位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する」

 この差し違いは06年6月1日の横浜対ソフトバンク戦(横浜)でありました。9回裏一死一塁で、横浜の多村仁志の打球が三塁線を襲いました。三塁塁審はファウルのジャッジを下したので、多村は走るのをやめました。ところが球審はフェアと判定していました。

 この場合、規則にあるとおり、両者が協議すればよかったのですが、球審は「球審の方がよく見える場所にいたので、自分のジャッジを優先させました。完全なフェアです」と答えたので問題は紛糾しました。球審は「連続プレーですので話し合うことはできない。自分のジャッジも確実なものであるから、話し合う必要はない」と答えていました。

 セ・リーグは後日、「協議しなかった球審の判断は遺憾で強く反省を促した」との見解を発表しました。異なる判定が下されたときは、2人の審判で話し合う必要があることをあらためて教えてくれました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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