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伊原春樹の野球の真髄

現状を打破すべくファームで苦闘する男

 

 プロ野球新時代の到来を予感させる大谷翔平(日本ハム)と藤浪晋太郎(阪神)の対決が実現するなど現在、交流戦は盛り上がっているが、その裏では現状を打破しようと苦闘している男もいる。

 5月25日、イースタン・リーグの西武ヤクルト(西武第二)。西武の先発マウンドに上がったのは、今年で41歳を迎えるベテラン西口文也だった。岸孝之牧田和久菊池雄星十亀剣野上亮磨ら西武は開幕から先発ローテーションが固まっており、ここまで一軍で登板機会がない西口だが、二軍でも熱い気持ちを胸に抱いたピッチングを繰り広げている。

 同じ腕の振りから投じられる直球にも強弱をつけ、スピード差を使って相手打者を抑え込むなどベテランらしい技術が詰まったピッチングが光る西口。ヤクルト打線にまったくスキを与えることなく、6回までゼロ行進。1球たりともおろそかにしない、その気迫もあふれるピッチングは若手にとっても、いい教材になるであろうと思わせるほどだった。

 その6回を終えて、西口の球数は105。私は「100球も超えたし、マウンドを下りるかな」と見ていたが、西口は7回のマウンドにも上がった。結果的にこの回、集中打を浴びて、西口の後を継いだ投手も打たれてしまい、5失点となってしまったが、西口の気概を大いに感じたのだった。200勝まで残り18 勝と迫っており、本人も大記録を達成したい気持ちは当然持っている。長年西武を支えてきたベテラン右腕に対して、心の中で「頑張れ!」とエールを送ってしまう。

 同じ試合ではヤクルトの田中浩康も「五番・セカンド」でスタメン出場していた。今年でプロ9年目を迎えた31歳。昨年、ゴールデングラブ賞も獲得した名手だが、今年は打撃不振に陥って5月24日に二軍落ち。本人は「バッティングで思い切りの良さがなくなってしまっているんですよね……」と語っていたが・・・

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伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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