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伊原春樹の野球の真髄

先発左腕に不可欠な特殊球

 

 「僕は不器用でなかなか投げられないんですよね……」

 この弱気な発言は昨年6月7日、イースタンのヤクルト戦(戸田)で登板後に先発した菊池雄星(西武)から聞いたものだ。この試合、菊池は6回まで投げ、6安打3四球2失点で負け投手。私はネット裏から、その投球をつぶさに観察していたが、菊池と顔を合わすたびに言っていた、“あの球種”は2球しか投じられなかったように思えた。マウンドを降り、スコアラー作業をこなすために、私がいる部屋に菊池が入ってきたとき、そのことを確認すると、冒頭の言葉が口から漏れてきたのだ。

 チェンジアップ、スクリュー、フォーク――いわゆる特殊球が昨年までの菊池に足らなかった。プロ野球界で先発左腕が長く活躍するには、絶対に特殊球が必要だ。短い期間ならストレート、カーブ、スライダーのみで通用するかもしれないが、それだけではやがて右打者を封じ込めるのが困難になる時がやってくる。なぜか。

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伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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