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絆で戦い抜いた延長50回

 

 今夏の甲子園では大阪桐蔭が三重に4対3で逆転勝ちし、2年ぶり4度目の優勝を飾ったが、その数日後、兵庫県・明石トーカロ球場では高校軟式野球の全国大会で球史に残る熱闘が繰り広げられた。第59回全国高校軟式野球選手権大会、中京と崇徳が対戦した準決勝である。8月28日に始まった試合はゼロ行進のまま決着がつかず、結局4日間にわたる超ロングゲームとなった。

 大会規定により延長は15回まで。今大会では日程消化が最優先とされたため、その日のうちに決着がつかなかった場合は、サスペンデットゲームとされ扱いは「継続試合」に。その結果、3日目(30日)を終えたところでイニング数は45に……。大会を夏休み期間の31日までに終わらせなければならないこと、そして、決勝の9イニングを確保する(規定では1日18イニングまで)ためにも、4日目は54イニングで打ち切りとされた。

 結果は50回表に中京高が3点を取り、その裏を中京の松井大河投手が0点に抑えて終了。そして、決勝で三浦学苑を2対0で破った中京が、2年ぶり7度目の優勝を果たした。いつ終わるのか分からない、気の遠くなるような長い長い試合の中で、選手たちの心を支えたのは、今まで指導してくれた監督・コーチ、ともに頑張ってきた仲間の存在だろう。

「監督と日本一を獲りたい」「エースが頑張っているから何とか点を入れたい」「みんなが守ってくれるから信頼して投げることができる」。極限の心理状態の中で、中京、崇徳の選手それぞれの心を支えていたのは、そういったものだったはずだ。そういった絆を垣間見ることができたからこそ、多くの人たちがこの試合に心を打たれたのだと思う。日本球界史上初の延長50回、いつまでも語り継がれていくはずだ。(三橋)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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