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大田泰示、四番プラン浮上?

 

 未完の大器、という言葉がここまでピッタリくる選手はいない。

 2008年のドラフト会議で巨人ソフトバンクの2球団から1位指名を受けて、巨人入団。松井秀喜ヤンキース移籍以降、6シーズンに渡って欠番となっていた「55」を託されたところに、球団の期待の高さが見てとれた。そう、大田泰示のことだ。

 ルーキーイヤーの09年から毎年、一軍出場機会を得ているのは、二軍では相応の結果を残し続けてきたから。ただし、一軍ではなかなか結果を出すことができずにいた。

 初安打が11年(3年目)で、初本塁打は12年(4年目)。この年は21試合に出場し、16安打、2本塁打、7打点と「覚醒か?」などと騒がれたが、残念ながら良いときは続かなかった。翌13年(5年目)は、シングルヒットわずか5本のみに終わってしまい、巨人ファンは毎年のように裏切られた気分になっていたのではないだろうか。

 背番号55から44へと変更がなされた今季も、春季キャンプでは松井臨時コーチにマンツーマン指導を受けて話題をさらったものの、開幕は二軍。一度目の一軍昇格(5月9日)では結果を残せず、すぐに二軍降格(5月18日)となっていた。

 ただし、いよいよ「未完の」から卒業の時を迎えていると信じたい。2度目の昇格(8月8日)以降は見違えるような姿を見せているからだ。

 その働きぶりをいくつか挙げてみると、優勝争いの真っただ中、9月17日の広島戦(マツダ広島)で1点を追う8回に代打逆転2ラン、23日の中日戦(ナゴヤドーム)では、同点打、2点本塁打を含む3安打3打点の活躍で、チームの9月スパートに貢献している。26日の優勝決定の瞬間(DeNA戦、横浜)は、守備固めでセンターを守っており、優勝メンバーにも名を連ねた。

 しかも、優勝決定翌日から2試合で先発四番(巨人軍第81代四番打者)に指名されるなど、2安打2打点と、きっちりと結果を残すところにこれまでとの違いを感じさせる。原辰徳監督は「(才能の)片りんを見せてくれたが、まだそこに信用はない」と手厳しいが、多くのファンと以上に、期待を掛けて、裏切られて、を繰り返してきたのだから、それは致し方なしだろう。

 ただし、あわせて「泰示が来年、四番を打ってくれればすごいね」とも。夢のようなプランではあるが、生え抜き右の四番打者はチームの悲願。今季後半戦の働きをコンスタントに魅せられるのであれば、それもあり得ない話ではないだろう。

 大田は「それはすごいっすね。そうなれるように頑張ります」と表情を引き締めていたが、まずはCS、そして日本シリーズでその資格があることを見せてほしいものだ。(坂本)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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