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勝利の陰に『北の鉄腕』あり

 

 もっと高い評価を受けてもいいピッチャーだと思う。

 日本ハム宮西尚生。プロ初年度から7年連続で50試合以上登板を果たし、地元ファンからは「北の鉄腕」とも呼ばれるチームに欠かせないセットアッパーだ。

 そんな男の存在が大きくクローズアップされた試合があった。10月14日のオリックスとのパ・リーグのクライマックスシリーズ第3戦(京セラドーム)。1対1で迎えた8回一死三塁のピンチで相手の中軸・糸井嘉男T-岡田を気迫のこもったストレートで連続三振。その熱投が中田翔の勝ち越し本塁打による勝利を呼び込み、日本ハムは王者・ソフトバンクが待ち受けるファイナルステージへとコマを進めた。

 試合後のヒーローインタビューは中田だけであったが、間違いなくこの試合の勝敗を分けたポイントは8回の連続三振である、陰のMVPは宮西だった。

 試合後もいつものように冷静に「これまでの7年間でああいう場面を経験させてもらいましたからね。それが生きたんだと思います」と特別感情を高ぶらせることもなく、淡々と振り返った。

 プロ入り以来、ケガや病気以外で二軍落ちはなし。常に一軍のブルペンの屋台骨を支え続けてきた。そんな彼にはトレーナー陣も舌を巻き、「ミヤ(宮西の愛称)は本当に痛みとメンタルが強い。それが7年間にわたって一番キツイポジションをやってこられた要因でしょう」だと話す。

 現在の球界には中日岩瀬仁紀巨人山口鉄也と素晴らしい左のリリーバーがいるが、地味ながらも彼らに負けないぐらいの貢献度と輝きを放つ背番号25。チームは3位からの下剋上を目指してCSファイナルステージでまだまだ熱戦を繰り広げているが、この先も日本ハムの勝利の陰には必ず、宮西尚生の存在がある。(松井)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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