若いプロスポーツ選手、あるいはこれからプロの世界で戦っていく選手を取材するとき、いつも気にしている点が一つある。それは、その選手の内面だ。プロでライバルたちを蹴落としてでも、上に這い上がっていけるだけの精神力、メンタルの強さがあるかどうか。これまで多くのスポーツ選手と話す機会に恵まれたが、その中でトップレベルで成功しているのは、内面の強い選手だけだ。物凄い才能に恵まれた選手でも、性格が優し過ぎると、トップレベルで成功し続けることは難しい。
今回、東農大オホーツク4年の
風張蓮投手が
ヤクルトにドラフト2位で指名される現場を取材する機会に恵まれた。4年間彼を指導してきた樋越監督に彼の内面について聞いてみると、自信に満ちた表情で答えてくれた。「うちのチームは風邪を引いたと判明したら、1週間、長ければ数週間一切練習させません。それは、自己管理を厳しくできないのでは、話にならないからです。ここは、ほかの大学とは違って“下剋上”です。1年生でも実力があれば、競争を勝ち上がって行ける。そのかわり競争は厳しい。その厳しい競争を1年のときから課しているので、風張がプロでライバルたちと競争していくことに関して、その内面についてはまったく心配していません」
実際、本人と話してみると、芯の強さを感じた。さらに監督からの指導に対して、すべて言われたことをやるのではなく、自分の中で考え、本当に自分に合ったもの、自分のプラスになると思ったことを取り入れてきたという。それだけ、自分で考えて自分の課題に向き合える能力を持っているということだ。そういう選手は成長する可能性が高い。
まだ風張選手が実際に試合で投げるところを自分の目で見たわけではなく、実際に話したのも一言、二言だけだ。しかし、プロで成功するのに必要なメンタリティーは持っていると感じた。4年間の集大成となる明治神宮大会で、どんな投球を披露するのか、是非見てみたいと思わせる選手だった。(池田晋)