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本誌編集長コラム

色あせない好守備

 

 旧聞に属するが10月30日にソフトバンク阪神を下した今年の日本シリーズで印象深いプレーを挙げるとすれば、阪神のセンター・大和の再三にわたる超美技になるだろう。

 特に第5戦(ヤフオクドーム)。阪神打線が振るわず、先発のメッセンジャーが孤軍奮闘する中、3回二死二、三塁では明石健志のライナーをダイビングキャッチ。

 さらに6回二死二、三塁では中村晃の右中間への大飛球に対して駿足を駆って見事に捕球。いずれも安打になっていれば2点ずつ入っていたことは確実で、計4点を防いだことにより、終盤まで0対0の熱戦となったが、そのプレーが飛び出した瞬間、鳥肌が立ったものだ。

 結局、阪神は1勝4敗でほぼ一方的にソフトバンクに日本一をさらわれてしまったが、日本シリーズにおいて劣勢での好守備で思い出される選手がいる。

 1995年、ヤクルトと日本シリーズを戦ったオリックスの三塁手・馬場敏史(現DeNAコーチ)だ。初戦から3連敗を喫したオリックス。試合巧者の野村克也監督率いるヤクルトの前になす術がない格好だったが、馬場はたび重なる好フィールディングでヤクルトの得点の芽を摘んだ。どんな打球でもグラブに吸い込む守備に感嘆したものだ。

 オリックスもヤクルトに1勝4敗で敗れ、日本一に輝くことはできなかった。しかし、野球ファンの脳裏には深く馬場の守備は刻まれた。旧聞に属する話かもしれないが、プロ中のプロのプレーは決して色あせないものだ。(編集長・小林)
野球の風

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週刊ベースボール編集長の編集後記。球界の動きや選手に対して編集長が思いをつづる。

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