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6チーム大混戦も面白いが、本当のペナントレースの面白さは高いレベルでの2強のV争い
三原脩は2強大接戦が大好き!?

 

 さしものセ・リーグ大混戦も、そろそろ上位と下位の差が開いてきた。投手陣にヘバリがくる8月は、離すか、離されるかの正念場である。

 6チームどこにもVの可能性があるという混戦もその珍しさで面白いのだが、しょせん珍しさは珍しさ。本当のペナントレースの面白さは、別のところにあると言いたい。

 今季のセ・リーグは、要するにどのチームも決め手に欠ける、ハッキリ言って弱いチームの集合。レベルの高いV争いにはほど遠い(巨人ファンは怒るかもしれないが、いまの巨人に見たいと思う選手がいますか? 筆者にはマイコラス井端弘和しかいない)。やはり、1位と2位の力が高いレベルで拮抗し、この2チームが最後までV争いを繰り広げる、これがベストのペナントレースだと思う。73年の巨人対阪神、94年の巨人対中日の大接戦は、甲子園決戦での大混乱、“10.8”のドラマという話題もあったが、いつまでも語り継がれるのは、1、2位の抜きつ抜かれつがあったからである。この両年の3チーム、「高いレベルで拮抗」とは言いにくいかもしれないが、名門チームの死闘は見ごたえがあった。

 この1、2位の大接戦が大好き(?)だったのが、あの三原脩である。西鉄監督時代に優勝した54、56、57、58年は、いずれも鶴岡一人監督率いる南海との激闘。そのゲーム差は、0.5、0.5、7、1.0。57年を除けば、ギリギリまでVの行方が分からない手に汗握る展開。57年だけ大差になったのは理由がある。いつも勝ったり負けたりになる対南海戦が、この年に限って15勝7敗の“ダブルスコア”の圧勝。この分だけ楽なペナントレースになった。稲尾和久が6勝、河村英文が5勝と南海をカモにした2投手の力投が大きかった。

 この4シーズンの西鉄と南海の勝率は54年=.657、.650。56年=.646、.643。57年=.648、.595。58年=.619、.612。まさにハイレベルなV争い。南海は、4シーズンすべてに優勝してもおかしくない数字。まあ、鶴岡親分、不運と言うしかないのだが・・・

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岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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