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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「最強チーム」

 

川上さんの教えがV9巨人の内面にまで染み込んでいた


 前号の特集「プロ野球史上最強チームは?」に、私も1票投じた。

 聞くまでもない、『V9時代の巨人』である。2連覇、3連覇することはあっても、9連覇なんていうのはどれだけ大変なことか。

 あのころの巨人の強さは、やはり川上さん(哲治監督)の影響だったと思う。私も実際日本シリーズで戦ったが、川上さんの教えが選手たちの内面にまでよく染み込んでいた。すなわち、「われわれは強いんだ」「われわれのチームは日本一だ」と。ハナから他チームを見下して戦っていた。

 マスコミも常に「巨人、巨人」。良くても悪くても巨人中心で、パ・リーグはパの字も出なかった。そりゃあ、コンプレックスの塊にもなろうかというものだ。

 何より『V9巨人』の野球は、まさに理想の野球だった。ON(王貞治長嶋茂雄)にばかり光が当たっているが、野球で大切なのはピッチャーだ。堀内恒夫城之内邦雄高橋一三中村稔……名前を挙げ切れないほど、素晴らしい投手陣がそろっていた。「中心なき組織は機能しない」という、私が考える組織論の大原則に、ピタリと当てはまる。攻守にわたり、しっかりした中心選手の存在があった。だから、チーム全体もうまく機能するのだ。

 その分、川上さんの采配はオーソドックス。セオリーに基づいた野球である。ノーアウトでランナーが出れば、土井正三黒江透修がちょこんとバントしてくる。常に正攻法で、奇策にはほとんどお目にかかったことがない。だから、「巨人の野球は面白くない」などと陰口をたたかれることもあった。

 以前このページにも書いたが、川上さんのミーティングは“森(祇晶)情報”によると・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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