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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「大谷翔平」

 

金田さん、江夏はめっぽう速かった


 約半年間の休載中は編集部へ激励のお便りを多くいただいたそうで、恐縮すると同時に、感謝してもし切れない。

 なにぶんこの年ゆえ、どこまでリフレッシュできたか分からないが、おかげさまで2015年シーズン、気持ちだけは新たに野球を見せてもらっている。

 そんな中、日本ハム大谷翔平が開幕から6連勝を飾った。映像を見る限り、良いピッチャーであり、良い選手であることは間違いない。5連勝目となった4月26日のオリックス戦(札幌ドーム)では5回途中、右足がつって降板。軸足である右足がつったのは、軸足をしっかり使っている証拠だと私は考える。

 ただ大谷に関して気になるのは、三振を奪っている球がスライダー、フォークなど変化球ばかりだということ。真っすぐでの空振り三振がないのだ。そこが、昔の本格派投手たちとの大きな違いである。金田(正一=国鉄ほか)さん、江夏(豊=阪神ほか)、杉浦(忠=南海)は皆、真っすぐでガンガン空振り三振を取っていた。

開幕6連勝を飾った大谷。直球で空振りを取れないのは気になる


 もちろん、われわれのころと比べると、打撃陣の知識も進歩しているから、今の時代、仕方ないことなのかもしれない。金田さんなど「当時スピードガンがあったら、ワシの球は160キロ以上出ていたはずだ」と豪語しているそうだ。その真偽はさておき、金田さんも江夏もめっぽう速かった。

 江夏は1971年のオールスターゲーム第1戦、強打者ぞろいのオール・パから9連続奪三振を記録した。意外と知られていないが・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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