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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「80歳」

 

「野村-野球=0」を皆さんに認めていただいた


現役時代は欲にまみれていた。しかし、まさか80歳まで生きるとは……[写真=BBM]



 先月29日、80歳の誕生日を迎えた。80歳の祝いは、『傘寿』。『傘』の略字が『八十』に似ていることからきているそうだ。

 これまでの80年、記録で誇れるものは何もない。ただ、好きな野球をし、野球にかかわって、これまで生きてきたことが一番だ。それとて決して誇れはしないが、「野村-野球=0」とは、皆さんに認められているところだと思う。

 プロ野球選手が引退後、どう生きていくかは、いつの世も大きな問題だ。それについて、今のプロ野球界を見ていると、大きな心配事が一つある。われわれが若いろは、能力主義で監督、コーチ職に就くことができた。しかし、今や能力より処世術、という時代である。これはすなわち、上に立つ社長、オーナーのレベルの低下ではないか。それでは人を正しく評価できない。野球界、あるいは球団にどういう人材が必要か、真剣に考えてほしい。

 このままでは、どんどん球界はダメになる――と私は思っていた。ところが現実、球場は満員。それが不思議で仕方ない。私の考えが間違っているのか。

 歴史の大半が、巨人中心で回ってきたプロ野球。それは、今も変わらない。ただ昨今、観客動員については間違いなく、理想の方向へ少しずつ向かっている。その証拠が、パ・リーグだ。巨人に頼らなくても、観客動員を増やしているチームが多い。

 私は南海時代からオーナー、社長に「大阪から出ましょうよ」と、やかましく言ってきた。プロ野球は、人気商売。しかし東京は巨人、大阪は阪神に、持っていかれてしまった。「それなら南海は、四国に出たらどうですか」と私は提案したわけだ。野球とのかかわりが古く・・・

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野村克也の本格野球論

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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