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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「不甲斐ない巨人」

 

長嶋のプロ意識を巨人の選手は見習え


 8月25日のヤクルト巨人戦[神宮]で、ラジオ中継の解説を担当した。関根潤三さんとのダブル解説だ。関根さんは私より8つ上の、88歳。「合わせて168歳」の老人解説なんて、例がないのではないか。もしかしたら、ギネスに残るかもしれない。

 ところが肝心の試合はといえば、「つまらない」のひと言。正直、あんなつまらない試合を見に来たお客さんが気の毒だった。選手にプロとしての自覚が感じられない。特に巨人の選手たち。ただ淡々と試合をしている。2対5で負けたのは仕方ない。しかし、その中に「さすがプロ」という何かを見せようとする意識があれば、お客さんに訴えるものは違ってくる。

 せっかく長嶋(長嶋茂雄)が、巨人に素晴らしい伝統を残してくれたではないか。現役時代、私は長嶋の言葉に感服したことがある。あるオフ、開催された日米野球に長嶋が全試合出場するという。シーズン中も、全イニングフル出場。さぞ疲れていることだろうと思い、「もうオフなんだから休ませてもらったら?」と長嶋に声を掛けた。すると彼はこう言った。

「休めないよ。俺を見に来ているお客さんがいるんだから」

 これぞプロ意識だな、と思った。そう考えると、私を見に来ているお客さんなんているのかな、と寂しくもなった。チームを応援には来ていても、野村の応援には来ていない。そこが私と長嶋の違い。あれぞ、まさに、プロ中のプロだ。

8月25日のヤクルト戦[神宮]、巨人の不甲斐なさが目立った試合だった[写真=大泉謙也]


 今の巨人の選手たちは・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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