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野村克也の本格野球論

野村克也が答える「皆さんからの質問」

 

「正捕手の条件」は「頭と肩」に尽きる


 今回は、しばらくご無沙汰していた皆さんからの質問にお答えしていきたい。まず、オタクジラさんほか数人からいただいた「野村さんが思う正捕手の条件とは?」。

 これは第一に『頭脳』。私は中学時代の通信簿を参考にした。高校の場合、義務教育ではないからあてにならない。中学の成績は、楽天の嶋(基宏)が秀逸だった。あまりに見事な「5」が並んでいたので、「10点満点の5か?」と聞いたら、「いえ、違います。5点満点の5です」。思わず「そんなに勉強ができて、なんで野球なんかに来たんだよ」と言ってしまった(笑)。

 ここでもよく言ってきたが、「敵を知り己を知れば、百戦して危うからず」という『孫子の兵法』。まさに敵を知って己を知らなければ、戦略も戦術も生まれない。だからこそキャッチャーに要求されるのは、「観察、洞察、記憶」の“三力"だ。

 相手は最低9人。その9人を前の試合でどう攻めたか、しっかり記憶しておかなければならない。こちらはうまく打ち取ったバッターのことをすぐ忘れてしまう。しかし打ち取られたバッターほど、相手はよく覚えているものと留意しておく。そこで大切なのは、まず観察。前回との変化を敏感に読み取る。そして今日のバッターの精神状態、狙いを洞察する。打者分析はキャッチャーの最初の仕事である。

楽天の嶋(右)は中学時代の成績も抜群だった。捕手に必要な「頭脳」を備えていた(写真=大泉謙也)



 次に、『肩』。セカンドへの送球術。
 天性の肩の強さがあれば一番だが、ない場合は捕ってから速く投げる送球術を工夫できること。頭と肩、その2つさえあれば、あとはどうにでもなると私は思っている。

 私は監督時代、キャッチャーたちに、「1日3試合やれ」と説いてきた。準備野球、実践野球、反省野球。特に大事なのは反省野球。「反省とはなんだ?」と聞くと・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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