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2015ドラフト指名選手クローズアップ
西武10位・松本直晃 異色の経歴を持つ148キロ右腕

 

硬式での投手経験が1年足らずという異色の経歴の持ち主だ。野手として過ごした大学時代を経て、軟式野球で投手としてプレー。その後、独立リーグでクローザーとして頭角を現した。最速148キロ右腕は、経験不足を補って余りある野心にあふれている。
取材・文・写真=高田博史

躍動感あふれる投球が松本の身上だ。14年には軟式の高松宮杯賜杯全国大会で4強を経験している[写真は四国IL]



野球は大学で終わるつもりだった


 いろいろな人から「苦労しましたね」と言われる。だが、松本直晃の胸の内には「苦労した」感がまったくない。むしろ、うまくいき過ぎるくらい物事がうまく進んだ。そう思っている。

 ドラフト当日も、まさか自分が指名されるとは思っていなかった。

「その、なんて言うんですかね。『そんな簡単に行けるかい!』と思っていたんですけど」

 投手として本格的に硬球を握り始めたのは、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズに入団した今季からである。たった1シーズンの挑戦で、NPBへの切符をものにした。今回のドラフト指名選手の中で最後となる(育成枠指名を除く)88人目、西武から10巡目で指名を受けた。

 環太平洋大時代は遊撃手、主将を務めた4年時には三番・右翼手として活躍した。2学年上に亀澤恭平(中日)がおり、同期に又吉克樹(中日)がいる。ともに四国リーグからNPBへと羽ばたいて行った2人がいた。

 だが、野球はもう、大学で終えるつもりだった。卒業後、鳥取にある医療法人・養和会に就職する。そこには、これからチームとして動き出そうとしている軟式野球部があった。

「一から野球部を作っていくということが、すごく興味深かったですね。野球がやりたいうんぬんじゃなくて『野球部を作っていく』という意味で、やってみたいなと純粋に思いました」

 老人介護関連の仕事をする傍ら、練習場となる米子市営のグラウンドを整地し、芝を刈り、ベースをはめ込み、マウンドを造った。メンバーは監督兼選手の青戸忍を含め、9人ギリギリしかいない。中学、高校と「名門」と呼ばれるチームでプレーし、大学でも主将だった松本が主将を務めるのは必然だった。同時に本職である遊撃手に加え、投手としてマウンドにも登るようになった。

軟式から再び硬式へ、投手として香川入団


 日々の忙しさの中、時間はアッと言う間に過ぎていく。2年目に入ったころ、青戸から「もっと上のレベルでやってみんか?」と声を掛けられた・・・

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ドラフト指名選手クローズアップ

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ドラフトで見事に指名を勝ち取った選手たちに焦点を当てる短期集中連載。

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