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Vol.18 高橋純平(県岐阜商・投手) ドラフト戦線でも主役の予感

 

高校野球は3月8日に対外試合が解禁。古豪・県岐阜商の右腕・高橋純平は自己最速の152キロをマークし、あらためてポテンシャルの高さを証明した。13日のセンバツ抽選会では1回戦で松商学園(24日予定)と対戦することが決定。新たなスター誕生に期待である。

 今年の高校生投手の中では飛び抜けた存在。直球は150キロを超えるだけに、センバツでの投球に注目したい。甲子園での活躍次第では今秋ドラフト1位で重複する可能性を秘めている。

 投球フォーム(9.0)の特長としては、腕の振りが強いことが挙げられる。クセのない上体の使い方で、角度もある。軌道も真っすぐで、シュート回転する球は少ない。若干、インステップ気味に左足を踏み出すが、そこは気にする必要はない。一つ注文をつけるとすれば、重心が高いところ。もう少し低くなってくると、球持ちが良くなる。


 最速152キロを誇るストレート(9.5)は文句なし。本格派投手として、高校生では1ランク上の直球だ。変化球(8.5)はスライダーやカットボールを軸にしているが、夏までにはカーブを習得してもらいたい。直球と40キロ〜50キロの球速差が出てくれば、緩急がつけられてよりストレートが生きるからだ。直球を中心に組み立ててほしい投手だが、上のステージでは打者を封じるためにも、緩急は絶対に必要になる。

 マウンド上では冷静に打者を見ながら投げられるタイプで、高校生としては高い投球術(8.5)を持っている。

 制球力(8.5)は変化球でもストライクが取れているからまずまずだが、欲を言えば両コーナーにしっかり投げ分けられるようにしてほしい。どの球種でも思いどおりに投げられれば組み立ての幅は自然に広がる。直球をアウトローに決める力はあるが、変化球でも同じように決めてもらいたい。

 フォームが良く、投げ終わった体勢が崩れないことから守備力(8.5)も悪くない。バント処理への意識も高い。夏にかけては、バントで揺さぶってくるチームも増えることが予想されるだけに、打球に対しての一歩目を素早くする意識を持って日々の練習に取り組んでいってほしい。バント処理ではしっかり腰を落とし、そこから各塁へターンして投げる。この練習は下半身強化にもつながる。

 ピンチでも表情が変わらないほどメンタル(9.0)は強い。おどおどすることはないし、ちょっと大人っぽいところが出過ぎているくらい。高校生は喜怒哀楽をもっと表現してもいいと思う。甲子園ではそういう姿を見てみたい。

 体力(8.5)もあるが、甲子園で勝ち上がるには連投でも同じパフォーマンスを発揮しなくてはならない。週末の練習試合で連投するなど、夏に向けて投げる体力を強化してほしい。特に必要なのは股関節の強化。アマチュアの選手は股関節と体幹は永遠のテーマ。そこが強くなってくれば、連投もこなせるようになる。

 まだ伸びしろを感じる素材で総合力(9.0)は高い。将来性(10.0)も抜群で、順調にいけばプロでは2年目あたりから表のローテーションとして回れる素材ではないか。藤浪晋太郎(阪神)、高橋光成(西武)は甲子園で勝ち進みながら投球のコツを覚えた。ショートバウンドになる変化球を振らせる技術など、勝ち上がるごとに習得していた。このセンバツでは、頂点へ導く投球を見せてほしい。

■採点表
投球フォーム 9.0
ストレート 9.5
変化球 8.5
投球術 8.5
制球力 8.5
守備力 8.5
メンタル 9.0
体力 8.5
将来性 10.0
総合力 9.0
合計 89.0
※採点の基準は2015年のドラフト対象選手

PROFILE
たかはし・じゅんぺい●1997年5月8日生まれ。岐阜県出身。183cm 76kg。右投右打。梅林小2年時から梅林スポーツ少年団で野球を始め、梅林中時代は揖斐パワーズ(現揖斐本巣パワーボーイズ)でプレー。ボーイズの岐阜県選抜で準優勝。県岐阜商では1年春からベンチ入りし、同秋からエース。昨夏は県大会4強、主将となった同秋は県大会準優勝。東海大会では4試合33イニングを投げ自責点1、35奪三振で準優勝。最速は東海大会準決勝(対いなべ総合高)で計測した152キロ。変化球はカーブ、スライダー、スプリット。
プロフェッショナルレポート

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元巨人チーフスカウトで現在はベースボールアナリストとして活動する中村和久によるドラフト候補生の能力診断。

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