週刊ベースボールONLINE


Vol.8 堀内謙伍[静岡高・捕手]
県下屈指の進学校から覚悟の「プロ志望」宣言

 

第87回選抜高校野球大会は3月21日、甲子園球場で開幕する。出場32校で昨秋の公式戦チーム打率トップ(.419)は、16年ぶり出場の静岡高だ。強力打線の四番、そして守りのカナメは同校では異例とも言える卒業後の希望進路を、プロ一本に絞っている。大会No.1の「打てる捕手」に、スカウトも熱視線を送る。
取材・文=岡本朋祐

全国の公立校でも稀な進学実績と野球部強化


 旧制・静岡中時代に1926年夏の甲子園を制している古豪・静岡高は、県下屈指の進学校だ。かつての校長が学校の指針として「東大と野球」を示し、高いレベルでの“文武両道”を掲げている。つまり、強豪私学ならともかく、公立校では全国でも稀と言える、大学進学実績と甲子園優勝という2つを追求しているのだ。

 2008年には県入試で「学校裁量枠」が導入された。文化的・体育的活動らを重視した新制度であり、それこそ学校の“裁量”によって、選抜割合を決められる。各校の特色を、より鮮明にするのが目的だった。静岡高では「体育の活動」として「野球(男)における実績、適性、活動意欲」の審査項目を設けた。極論を言えば、勉強と野球のエリート育成を2本柱に定めたわけだ。定員(320人)のうち3パーセントが同枠で入学する。もちろん、学力検査における一定の成績も必要だが毎年、10人前後の厳選された有力選手が名門・静高野球部の門をたたけるようになった。

 しっかり成果も出している。08年に就任した栗林俊輔監督は11年夏に8年ぶりの甲子園へ導くと、昨夏も出場。東海大会は10年春から昨秋まで10季のうち9回出場と、安定した力を発揮。同秋は50年ぶりに東海大会を制し、今年1月23日に16年ぶりのセンバツ出場を決めた。夏春連続での全国舞台では、戦後初の4強進出を一つの照準に定める。

 昨夏の甲子園メンバーからレギュラー6人を含む、7人の経験者が残る。昨秋の公式戦チーム打率は、センバツ出場32校中トップの打率.419。強力打線の顔、2年春から不動の四番が堀内謙伍だ。二塁送球はアベレージで1.9秒台をたたき出す強肩で、バットでも昨秋以降で5本塁打を放った。攻撃型の司令塔はすでに、プロ志望を明言している。

「小さいころからの夢に挑戦したい。両親が熱心に、野球ができる環境を整えてくれた。恩返しする意味でも、プロへ行って活躍したいと思う」

シュアな打撃が売りも、好きな分野は守り。ディフェンスからリズムを作り、自らの打撃にもつなげていく



最速135キロ右腕から高校では捕手に転向


 遊撃手だった兄・俊吾さん(現国士舘大2年)は・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

逸材発掘!ドラフト候補リサーチ

逸材発掘!ドラフト候補リサーチ

プロを目指す逸材を発掘し、その横顔とプレースタイルを紹介する読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング