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逸材発掘!ドラフト候補リサーチ2016
松本桃太郎[仙台大・内野手] フルスイングを誓う三冠王内野手

 

1年秋から三冠王に輝いた強打の三塁手。仙台大を強豪に押し上げた豪快なスイングを武器に、全国の舞台、そしてプロの世界へ駆け上がるつもりだ。
取材・文=吉見淳司、写真=BBM

プロの舞台を見据え仙台大進学を選択


 1970年に発足した仙台六大学リーグで近年、目覚ましい活躍を見せる仙台大。75年秋、80年秋を制して以降は優勝とは無縁だったが、2014年に悲願の春初優勝を遂げると、15年春も王者・東北福祉大を下して春連覇を達成した。

 その投の原動力が、昨秋ドラフトでDeNAから2位指名を受けて仙台大初のプロ野球選手となった熊原健人。そして打でチームをけん引したのが松本桃太郎だった。

 北海高では右腕・玉熊将一(現法大)とともに主力となり、2年時に春夏甲子園に出場。卒業後はプロ志望届を出さずに東洋大への進学を希望していたが、セレクションで不合格となり、活躍の場を東北へと移すことになった。

「仙台大と富士大からお話をいただいていました。富士大は北東北大学で優勝の常連。仙台大は当時あまり結果が出ていなかったのですが、将来的にはプロで行きたいという希望がありました。仙台六大学には東北福祉大もいるので、スカウトに見てもらいやすいということが進学を決めた理由の一つです」

 仙台大を選んだもう一つの理由が、充実したトレーニング環境だった。高校時代は67キロ。線の細さを指摘されることが多く、そのたびに「悔しかった」と振り返る。

「ウエート・トレーニングを本格的に始めました。今までやってこなかったからこそ目に見えて効果がありましたね。今は87キロあるので、3年間で20キロ増えました」

たくましい下半身が練習の成果を物語る。ウエート・トレーニングにより、体重は入学時から20キロアップした



 体は徐々に出来上がっていったが、野球センスは早々に発揮された。1年春からサードのレギュラーに抜てきされ、12試合で打率.227を残した。大学レベルのスピードに戸惑ったものの、140キロに設定したマシンをマウンド間よりも近づけた打撃練習を重ねることで克服。「ボールがゆっくりに見えるようになった」という秋には打率.477、3本塁打、17打点で三冠王に輝いた。

 マークが厳しくなった2年春にも3本塁打、14打点で2冠を獲得。だが、それ以上にうれしかったのが、冒頭の春初優勝だった。

「入学時にタイトルを全部獲りたいと思っていたのですが、それは1年秋に達成できた。次の目標を考えたときに、熊原さんなどいい投手がいたので、神宮(大学選手権)に出るしかないと思いました。1年生のときは僕が打たなくても先輩たちが打ってくれたので好き放題にやっていたんですけど、2年生のときには四番を打つことが多くなり、自分勝手にやっていたら勝てない。僕のアウトのなり方一つで後ろのバッターが打ってくれるのだと考えるようになりました。状況に応じた打撃ができるようになったと思います」

 しかし全国の舞台では唐仁原志貴(福岡大→富士重工業)や濱口遥大(神奈川大)に封じ込められ、2試合で9打数1安打。チームも準々決勝敗退に終わった。試合後には「自分のせいで負けた」と言葉を絞り出した・・・

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