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変わることを恐れる人は多い。うまくいっていればなおのこと。しかし、変化なくして、進化はない。13年に4勝、昨季8勝を挙げるなど、順調な成長曲線を描く松葉貴大はまだまだ進化の過程にいる。オリックスの左腕エースの地位を確立すべく、これからも変わり続ける―。
文=喜瀬雅則(産経新聞) 写真=前島進、佐藤真一、BBM

心にズシリと響いた小林雅コーチの言葉


 神戸市西区にあるオリックスの合宿所「青濤館」に隣接されている室内練習場は、選手たちの体感だと「三宮の街より2、3度は低い」そうで、冬の底冷えは特に厳しい。キャンプインまでまだ2週間以上もある1月16日。3年目左腕の松葉貴大は、その冷たい空気を切り裂くかのように「ビュッ」という音を立て、キレのいいストレートを投げ込んでいた。

「僕は正直、先発ローテーションが確約されているような選手じゃない。アピールしないと一軍には残れない。シーズンで結果を残すためには、まずはキャンプですから。のんびりなんかしていられないんです」

 捕手の伊藤光に声を掛けてブルペンへ入ると、まず立ち投げの20球でカーブ、スライダーにツーシームと変化球の曲がりを確かめ、引き続いて伊藤を座らせ、今度は直球オンリーの20球。球の伸びや回転を見ても、1月半ばとしては驚くほどのハイピッチ。しかも、順調な調整ぶりを示していた。

 ドラフト1位入団の一昨年は4勝、2年目の昨季は8勝。しかも5月18日のソフトバンク戦(京セラドーム)での2勝目から、負けなしの7連勝。チームが最後の最後まで優勝争いを展開した中、松葉は5月以降、先発の一角としてきっちりとローテーションを務め上げた。さらに一昨年の台湾遠征、昨年の日米野球と2年連続で「侍ジャパン」にも選出されている。その着実な成長ぶりを見せている松葉が、それでもあえて、とも言えるだろう。

プロ初勝利は登板2戦目の13年5月8日のソフトバンク戦(京セラドーム)。お立ち台で「ウイニングボールは誰に?」との問い掛けに「親にここまで育ててもらった。一つ恩返しができたと思います」



14年6月28日のロッテ戦(QVCマリン)で早くも前年を上回る5勝目。これでオリックスが7回終了時点でリードした試合は40勝0敗。見事な投球で不敗神話を守った



 3年目の今季を前に、掲げたテーマは『変化』だった・・・

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