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中継ぎ投手の「ホールド」の価値を考える

 

5月のプロ野球はDeNAの快進撃が話題の中心であった。その原動力となっている新人の山崎康晃が話題をさらっているが、抑えのセーブほど派手ではないものの、その前の中継ぎ専門投手のホールドにも新記録が生まれている。ただし、その新記録は日本独自の規則に助けられたもの。本来の野球規則から逸脱した日本独自の新記録だけに心から喜べない。まずはこの問題を考えてみたい。(記録は6月2日現在)

中継ぎ投手の称号ホールドの価値


 山崎康晃のセーブ数はすでに18にも達し、新人記録である90年の与田剛(中日)の31セーブを更新しそうな勢いだが(その後、6/10現在19セーブ)、95年に新設されたホールドのパ・リーグ連続新記録がこのほど誕生した。

 ソフトバンクのバリオスが5月8日の楽天戦で1点リードの8回に登板し1イニングを三者凡退に抑え、開幕から13試合連続ホールド。13年に宮西尚生(日本ハム)が達成した12試合連続のパ記録を更新した。その後も記録を伸ばしていたが、5月20日まで17試合連続でストップした。

 セ記録は藤川球児(阪神)による03年の17試合連続。年間最多はセが10年の浅尾拓也(中日)の59であり、パ記録は12年の増井浩俊(日本ハム)による50だ。

 ホールドとはセーブの付く条件下で登板し、そのまま(リードをキープしながら)途中で退いた投手に与えられる記録である。

 セーブの付く条件は、

(1)3点リードのときに出場し、しかも最低1イニングを投げた場合。

(2)連続本塁打されたら同点になる状況で登板し、リードを守り切った場合。

(3)最低3イニング投げリードを守り切った場合

 に与えられる記録である。

 最近は継投策も複雑になり、抑え投手の前に中継ぎ専門の投手が登板するので、その中継ぎ投手たちの功績を評価するための「ホールド」である。セーブはリードを守り切った場合の称号である。従ってホールドもリードを保持し、抑え投手にバトンタッチした場合に与えられる記録であるが、日本では同点で登板し無失点で後続投手に後を託した場合にもホールドが与えられる。そこが本来のホールドと違っている。

 05年から両リーグの記録部が合体し一本化されたときに、この中継ぎ投手に与える記録が問題になった。パ・リーグはそれまでのホールド+救援勝利のホールドポイントの採用を主張したが、セ・リーグはそれまで独自に表彰の対象にしていたリリーフポイントの採用を主張したので折り合いがつかなかった。仕方なく本来のホールドでは含まれない、同点で登板したときも含める本来の規則から逸脱したホールドの採用となった。

パの連続ホールド記録を更新したソフトバンクのバリオス。いまや欠かせない戦力となっている



 同点での登板を含めるのだからホールドの数は多くなる。昨年の例で言えば、メジャーは2430試合で2297ホールドだから1試合平均にすると0.95個。日本は864試合で1151ホールドとなって1試合平均1.33個。当然ながら日本の方が多くなる。

 リードを守り切ったのがセーブであり、ホールドであるが、日本では・・・

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