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記録の手帳 / 千葉功

第2のイチローや松井秀喜は登場しないのか

 

先週は投手の日本人メジャー・リーガーの活躍が曲がり角に来ていることを述べたが、打者はさらに顕著である。2015年にプレーしたのはわずかに3人で、安打の合計は199本にしかならない。07、08年には1000本前後の安打数を記録していたが、その5分の1にしかならない。遠からず日本人打者はメジャーの舞台から消滅するのでは、と心配になる。

15年シーズンはマーリンズでプレーしたイチロー。その卓越した高い打撃技術は他の追随を許さない[写真=Getty Images]



松田宣浩に立ちはだかるメジャー内野手の壁


 厳しい状況が続く日本人野手だが、ソフトバンク松田宣浩が海外FA権を行使し、メジャー・リーグへの移籍を視野に入れている。

 松田は14年はケガにも祟たたられ101試合に終わったが、打率.301、18本塁打、56打点。15年は全試合に出場して、.287でリーグ2位の35本塁打、94打点。得点圏打率も.303と勝負強く、チームに不可欠な選手であった。そんな松田であれば、メジャーでも立派に通用すると思われるが、日本人の内野手は期待を裏切る選手が多いのが心配になる。

 メジャーに挑戦した内野手は8人いるが、挑戦前後の成績はこうである(*があるのは遊撃手)。

▼*松井稼頭央(西武→メッツ)
03年 140試合.305 33本→04年 114試合.272 7本
井口資仁(ダイエー→ホワイトソックス)
04年 124試合.333 24本→05年 135試合.278 15本
中村紀洋(近鉄→ドジャース)
04年 105試合.274 19本→05年 17試合.128 0本
岩村明憲(ヤクルト→デビルレイズ)
06年 145試合.311 32本→07年 123試合.285 7本
▼*西岡剛(ロッテ→ツインズ)
10年 144試合.346 11本→11年 68試合.226 0本
▼*川崎宗則(ソフトバンク→マリナーズ)
11年 144試合.267 1本→12年 61試合.192 0本
田中賢介(日本ハム→ジャイアンツ)
12年 114試合.300 3本→13年 15試合.267 0本
▼*中島裕之(西武→アスレチックス)
12年 136試合.311 13本→13年 不出場

 松井稼頭央が04年にメッツ入りしたとき、アメリカ人の友人は「ヤンキースのジーターよりすごいじゃないか」と言っていた。ジーターの03年は119試合で.324、10本である。しかし、04年のジーターは154試合で.292、14本だが、松井稼は114試合で.272、7本塁打。ジーターは14年までプレーを続けた。松井稼のメジャー1年目は114試合で.272、7本塁打で勝負はついた。

 遊撃手で渡米した11年の西岡、12年の川崎はいずれも遊撃のポジションは確保できなかった。10年にロッテで144試合すべてに出場し、打率.346でパ・リーグの首位打者になった西岡もメジャー1年目は開幕直後の4月7日に併殺の際にベース上で滑り込んできた一塁走者と衝突し左脚の腓骨を骨折。1年目は68試合にしか出場できなかった。2年目もメジャーでは3試合で大半は3Aでプレーし帰国した。



 13年に渡米した日本ハムの田中賢介、西武の中島裕之もメジャーではほとんど記録を残せなかった・・・

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