週刊ベースボールONLINE

記録の手帳 / 千葉功

15年5位・オリックス&中日 来季への課題

 

14年にパ・リーグ最多の80勝を挙げ、首位のソフトバンクに.002差で2位に躍進していたオリックスだが、15年は開幕からの17試合で2勝1分け14敗。最後まで6、5位に定着したままシーズンを終えた。一方、14年には28年ぶりの2年連続Bクラスの屈辱を味わった中日は15年も開幕3連敗とスタートに失敗。すぐに7連勝と態勢を立て直したが、6月3日に4位に転落……。そこから一度もAクラスには返り咲くことはできなかった。5位に沈んだ両チームの誤算はなんだったのだろう。その原因を記録の側面から究明してみたい。

オリックス・1点差ゲームに弱く打撃陣も低迷


 オリックス最大の敗因は打力であった。14年のチーム打率は.258でリーグ2位であったが、15年は.249で第5位。チーム防御率は3.59で2位であるだけに得点数が前年の584から519へと減少していた打線の後退は究明されなくてはなるまい。

 打撃20傑の中にもオリックスの選手が見当たらない。ようやく21位に糸井嘉男の名が出てくるだけ。その糸井は14年には.331で首位打者であった。その糸井が15年は.262で21位。ほかに規定打席に達した選手は打率.240で24位の中島裕之、.239で25位の安達了一の2人しかいなかった。

主軸の糸井嘉男もシーズンを通じて本来の力を発揮できず。打線の低迷に苦しめられた1年だった



 さらにオリックスの15年を振り返るときに目につくのは1点差試合にも弱かったことだ。13勝32敗で勝率はわずかに.289だった。もし1点差で負けた32敗の半分の16試合でも勝っていたら、15年の勝率.433は.546であり、2位の日本ハム(.560)に対抗できたのだから、1点差の惜敗を重ねたのは大きな痛手になっていた。参考までにパ・リーグ他球団の1点差試合の成績はこうである。

▽日本ハム 20勝12敗.625
ロッテ 25勝19敗.568
▽ソフトバンク 23勝19敗.548
楽天 21勝20敗.512
西武 17勝18敗.486
▽オリックス 13勝32敗.289

 ズバ抜けて1点差に弱かったオリックスである。それを具体的に示すのは1〜2点差リードされているときの打者の成績。ソフトバンクは1〜2点差リードされているときも打者は.277と、通常(.267)以上の力を発揮しているが、オリックスは.234である。



 1〜2点リードされているときに3割台をキープしている打者も何人かはいても西野真弘坂口智隆川端崇義カラバイヨといずれも控えの選手たちだ。糸井は.277、中島は.253、安達は.230でしかない。

期待を裏切った新戦力たち


 メジャーに挑戦した中島は2年間に一度も檜舞台を踏むことなく帰国。12年には西武で打率.311、13本塁打だったが、2年のブランクを置いた15年には.240で10本塁打とは何のためのメジャー挑戦であったかが分からない。その選手を獲得したオリックスにとっては大きな誤算であった。四番打者に例をとっても、14年は打率.270で27本塁打、88打点であったのが、15年は.268で20本塁打、73打点とダウンしていた。



 帰国した中島に、オリックスは四番を用意して開幕を迎えたが、いつしかカラバイヨやT-岡田に代えられるようになった。

 誤算は中島だけではない・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

記録の手帳

記録の手帳

プロ野球アナリスト千葉功によるコラム。様々な数値から野球の面白さを解説。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング