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記録の手帳 / 千葉功

覇権奪回のカギを握る“巨人の四番”は誰が打つのか

 

巨人にとってペナント奪回はもちろんのことだが、それ以上に打線の立て直しも緊急の課題である。昨年のチーム打率.243はセ・リーグワーストであり、打撃10傑に巨人の選手は14年に続いて2年続けて1人も登場してない。また、四番打者には8人もの選手が起用されていた。かつて巨人の四番は日本の四番打者とまで言われたが、近年は定着する選手がいない。果たして今シーズンは誰がその役を担うのか。今号は巨人の四番にスポットを当ててみたい

2016年シーズンは再び捕手としてだけでなく、打線の中軸としても期待が懸かる阿部慎之助。この男がコンスタントに四番で出場できれば、安定した戦いができるようになる



Gの最多四番出場は川上哲治の1658試合


 巨人史上において四番に最も多く起用されたのは川上哲治の1658試合である。



 1938年に熊本工から投手として入団した川上はその年の春、秋のシーズンで62試合に出場したが、投手で登板したのは12試合。打っても168打数42安打で.250とあって、さほど注目を集める存在ではなかった。そんな川上の強打が注目されたのは2年目の39年からである。

 この39年でも開幕戦の南海戦では投手とあって九番だが、3月26日のセネタース戦に一塁手で先発メンバーに起用されたときは五番。4月10日の南海戦には五番・投手で6回まで投げて退いたが、打っては三塁打1、二塁打2を含む5打数5安打の大当たり。4月24日の金鯱戦でも五番で一塁を守って4打数で第1号を含む4打数3安打で3打点。投手らしからぬ打撃を披露した。

 5月14日の神戸ではダブルヘッダー第1試合の阪急戦に初めて四番・一塁手で出場したが、3打数0安打。これが後に続く四番としてのデビュー日である。この記念すべき試合に川上はノーヒットに終わったが、続く第2試合の南海戦には四番・一塁手で先発し、途中から投手としてもマウンドに立って4打数2安打だ。

 このあと四番を打ったのは10月に2試合だけ。しかし、投手で18試合に投げながら、343打数116安打の.338で首位打者のタイトルを獲得し、川上の強打は球界を席巻していく・・・

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プロ野球アナリスト千葉功によるコラム。様々な数値から野球の面白さを解説。

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