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ソフトバンク・工藤新監督は自然体を貫き、大したものだ。柳田が起爆剤となりチームは充実期に入っているわ

 

勝負事に絶対はないが…ソフトバンクだけにはあった


 いよいよ高校野球である。甲子園の夏の大会……。今年は100周年ということだから、大いに盛り上がるだろう。この号が出るころには、出場校が出そろい、さあ! という時を迎えているだろう(開幕前日)。

 それにしても勝負事は分からない。勝負に絶対はない。高校野球でもそうだ。必ず甲子園に出てくると思われた高校がまさかの敗退……。こういうことが全国で多く起きた。例えば大阪。絶対視されていた大阪桐蔭がベスト8で負けた。全国屈指の激戦区ということは分かっているが、やはり絶対はなかった。勝負には波乱、番狂わせは付きもの。そういうことなんだ。

 プロ野球も同様である。セ・リーグを見てください。もう7月が終わりを迎え、8月に入ったのに、空前の混戦は相変わらず。中日がやや置いていかれた感じだが、それでも上から下まで、ギシッと詰まり、依然として抜け出すチームが出てこない。こういう展開、予想できましたか?

 巨人阪神広島を上位に予想できても、ここまでの乱戦は想定外。波乱含みで、この展開はしばらく続きそうだ。勝負の9月にどう動くか……。興味は尽きない。

 ところが、そんな波乱の球界に、ここだけは「絶対」があった。パ・リーグのペナントレース。先頭をスイスイと走るソフトバンクが、絶対的な力を示している。7月終わりの時点で貯金が30に届こうか……という強さである。下馬評どおりの結果だが、これから先もソフトバンクに死角は見えない。圧倒的なパワーで制圧する可能性は極めて強い。そこで今週はソフトバンクの強さをあらためて、考えてみます。

 オレは開幕前、両リーグの順位予想を週べで発表したが、セ・リーグは正直、迷ったわ。無難にいけば巨人なのだろうが、今年は決定的な強さが感じられず、結局、広島、阪神、ヤクルトとして、巨人は4位に評価した。これは迷った末の予想だったのだが、パ・リーグは簡単に決まった。優勝予想はまったく迷いなくソフトバンク。オリックスの戦力強化などで混戦を予測する声もあったけど、オレはソフトバンクの地力、総合力は相当のモノと感じていた。パ・リーグには波乱は起きない。そこまで断言していたわ。

 日本一になって、そこで監督が交代した。秋山(幸二)監督から工藤(公康)新監督へ。工藤監督は現役を引退してから、1度もユニフォームを着ることなく、コーチの経験もない。それをいきなり監督、それも日本一のチームを預かる……ということで、そこが不安材料に、という見方もあったようだが、オレはまったく気にする必要なし、と思っていたよ。

 あえて自分の色を出す必要はない。出そうとしたら、逆にマイナスになるよ、と感じていたが、工藤監督はあくまでナチュラルに采配を振るっている。工藤色を出そうという気負いがない。チーム力を信じているから、流れに沿った戦いを続けている。これがいい。1年目監督となれば、つい力んで、チーム改革や、自分の野球を推し進めようとしがちだが、工藤監督は自然体を貫いてきた。大したものだ。できるようで、なかなかできないことを、サラリとやってのけている。

自分のチームの戦力を信じ、自然体で戦わせている工藤監督。その采配がソフトバンクの強さをさらに際立たせているな



 日本一とリーグ1位の違いはあるけど、オレも2004年、リーグ優勝した直後に阪神の監督になった。星野監督から受け継いだものだが、リーグ優勝したあとだから、プレッシャーがあるやろ? と聞かれたものよ。だけど・・・

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岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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