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岡田彰布コラム

トリプルスリー達成者はチームの環境で決まる。山田は打撃が売りのチームの象徴、柳田は総合力が売りのチームの象徴や

 

30本塁打3割は可能性も、そこまでよ。盗塁は……


 9月も終盤に入った。それでも混戦は続く。セ・リーグは本当に、本当の勝負の時を迎えた。上位3チームに、広島が絡み、どこが優勝するのか。どこがクライマックスシリーズ出場権を逃すのか。興味は尽きない。戦っている側からすれば、息の抜けない2週間足らず。そら精神的に辛いわ。肉体的には最後のひと絞りって感じで乗り切れるだろうが、気持ちはその日、その日の勝敗で、泣いたり笑ったり……。この苦しみや喜びを知っているだけに、簡単な言葉もかけれない。とにかく悔いの残さぬように戦ってほしい。それだけやな。

 先週号でも書いたが、どこが抜け出すか。この期に及んでも断定できない。知り合いやファンに「どこが優勝?」と聞かれるけど、その都度「分からん」としか答えていない。ホンマに分からん。これまでなら競り合っても2チーム。それが4チームが入り乱れているわけよ。判断がつかない……というのは、いまも変わっていないわ。

 まあこの号が出るころには、退勢は判明しているかも。いや10月に入って、最終戦までもつれ込むことだってある。決着の瞬間を見逃すな……ということやね。

 ということで、前振りはこのくらいにして、今週は「トリプルスリー」について書け!という担当者からの声が届きました。個人記録についてだが、打率3割越え、本塁打30本超え、盗塁30個超えの偉業。これをセとパのひとりずつが達成しようとしている。ソフトバンクの柳田(悠岐)、ヤクルトの山田(哲人)の2人。あらためてすごい記録やと思うわな。それは過去の達成者の数で分かる。長いプロ野球の歴史の中でこれまで8人しか達成していないんやから、ある意味、タイトルを獲得するより値打ちがある……ということやと思うね。

 オレは正直、トリプルスリーに関しては、狙う……という思いはなかったわ。プロに入って、数字的な目標はあまり立てなかった方やけど、それでも3割、30本塁打はいきたいと考えていた。でもそこまでよ。30盗塁は考えなかったし、オレに30回以上、盗塁のサインは出んもんね。

 このトリプル3は、いろいろな条件をクリアして成し遂げられるものやろな。まず完全にレギュラーに定着すること。試合に出たり、出なかったりでは達成できない。それに故障をしないというのも条件に入るやろ。大きな故障をすれば、数字は伸びない。だから丈夫で故障に強いことが求められるわけよ。

 そして何より秀でているものが3つもあるということや。プロに入って試合に出るには、まず一芸に秀でていることが、手っ取り早いんやが、大きいのが打てて、確実性があって、足が速い。これがそろってないとトリプルスリーは無理よ。ということは三芸に秀でているってことになる。こういう選手がいてくれたら、そら監督としては、頼もしいわ。まず柳田やけど、強い印象がある。というのもオレがオリックスの監督のとき、柳田の一軍定着時期とダブっているんよ。

 遠征で福岡に行った際(12年6月)、事前のミーティングでレギュラーとして初顔の柳田についての報告(11年は守備のみ出場)が、スコアラーからあった。それによると「真ん中の真っすぐしか打てない」というものやった。ホンマかいなと思いながら、いざ試合よ・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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