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岡田彰布コラム

金本新監督は専門外であっても、ドンドン自分の考えを押し出すべきや。責任を取るのは監督やし、最後の判断も監督よ

 

今の阪神の戦力であえて「変革」しなくていいと思う


セ・リーグの監督は全員が40歳代で金本新監督が最年長と大きく若返った。その中で金本阪神がどういう色を見せるか楽しみやな



 金本知憲である。オレは彼との関わりの中で思い出すことがある。2003年、阪神にFAで移籍してきた。当時の監督は星野(仙一)さんで、オレは三塁コーチに立っていた。広島での実績からしても、素晴らしい選手だと思っていたし、実際、同じチームで戦い、それを肌で感じた。三番を打ち、そのシーズン、リーグ優勝に貢献してくれた。

 すると翌年、星野さんが辞任し、オレが後任監督になった。オレは考えた。最初に金本のことを考えた。果たして彼の打順は三番のままでいいのか……。結論は違った。チームの勝敗を背負える選手だ。金本のほかに四番を打てる打者はいるのか……。そう考えると、答えは自然に出た。金本四番!これが監督になって、最初に手がけた仕事だった。

 早々と金本に会い、そして伝えた。「四番を任す。全打席、ホームランを狙っていけ」。短い言葉であったけど、それで十分やった。それ以来、オレの毎日の仕事は、まずスターティングメンバー表の四番のところに「金本」と最初に記すこと。これだった。

 期待どおりだった。オレが監督を務めた5年間、金本は本当の四番として、体を張り続けてくれた。死球を食らい、骨折したときも、翌日の試合前、「お前、(試合に)出るんやろ」とだけ伝えた。ほかの言葉は無用と思った。状態はどう?とか、どうする?とかは必要ない。連続フル出場の記録が継続していたし、オレが余計なことを言う必要はない。出るんやろ?でお互い、理解できたと思う。それで試合では右手一本でヒットを打った。そういう男……ということは分かっていたし、金本は泣き言ひとつ吐かなかったわな。

 勝負にかける執念も、彼から感じたよ。試合の終盤に入り、1点を争う展開で、チャンスに金本の打順がきた。無死か一死で走者は一、三塁。そんなとき、金本は打てないと思うと、三遊間にゴロを飛ばす。それもボテボテのゴロよ。併殺にならないし、転がせば1点が入る場面。金本はこんなゴロを狙いにいったわ。「あえて打ったな」とオレが声を掛けると「分かりましたか」と答える。監督として、ホンマ、頼りになる四番やったし、それが結実した05年のリーグ優勝やった……と、いまでも振り返ることがある。

 そんな金本が監督に就任した。金本監督の誕生よ。これから先、どういうチームを作っていくのか。どういうチームを目指すのか。まだ本人と話していないが・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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