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岡田彰布コラム

プロは目立ってナンボ。新人入団会見で目立てば大きく扱われる。あとは、1月以降は力で目立つこと。祖父母のためにも頑張ってほしいな

 

「早大・三塁手の岡田です」で掛布さんに宣戦布告?


 顔なじみのスポーツ新聞記者がボヤく。「また来ましたよ、この季節が…」。彼らはこの12月をネタ枯れ…と表現する。特にプロ野球記者は苦労するらしい。球界のイベントはほとんど終わり、話題になるのは契約更改交渉といったあたり。紙面を埋めるのが大変ということらしいのだ。

 ということは、週ベも同様なのか?この「そらそうよ」担当編集者からの連絡でも「さあ、今週はどういうテーマにしますか?」と具体的な提案はなし。それなら、オレが決める。これまでマジメに野球を語らせてもらったし、このあたりで、柔らかいネタでオレは書いてみようと思ったわけ。それでいいかい?担当者さんよ。

 今週の中身は新人選手の入団発表について、である。今年も全球団で発表が行われたと思うが、ルーキーにとっての最初の晴れ舞台。初々しさが、なんともいいモノだ。オレにもそういう時代があったわけよな。1979年やからいまから36年も前になる。早大から阪神に1位に指名され、クジ引きの結果、6球団競合なのに阪神に引き当ててもらった。そして、何の問題もなく入団へ。多くのマスコミを前にしての入団発表に臨んだ。

 この年、同期入団はオレを含めドラフトで4人、そしてドラフト外入団の3人。7人が同期だったが、入団発表はなぜかオレ一人やった。特別扱いをしてくれたのかどうか、オレには分からないけど、大阪キタのホテル阪神で発表が行われた。このホテル、いまは移転して、その土地にはないけど、いまでもこの近くを通ると、古いホテルのことは思い出すよな。

 入団当時は外国人監督のブレイザーが2年目だったけど、この入団会見には同席せず。当時、ブルドーザー社長と呼ばれた小津(正次郎)球団社長がひな壇でオレの横に座っておられた。そこでまず立ち上がって挨拶したのだが、オレはホンマ、普通に「早稲田大学、三塁手の岡田彰布です。よろしくお願いします」とやったところ、意外な反応があった。三塁手の…と口にしたところに番記者が食いついたわけよ。そう、そのころ阪神の三塁といえば、掛布雅之さんがいる。それも飛ぶ鳥を落とす勢いのときよ。それなのに、岡田はあえて三塁の…と言い、掛布に宣戦布告した…というふうに取り上げられたのである。

オレの入団会見。なぜかオレ一人だけ。そこで「三塁手の…」とうっかり言ってしまったから大変なことになった(写真左は小津球団社長)



 オレ、そんな気持ちはまったくなかったけど、スポーツ新聞は何かとうまく仕掛けるものよ。大学2年からずっと三塁を守ってきたし、それを内野手の…と言っておけば、何もなかったんやろうけど、オレは普通に三塁の…と言うただけのことよ。これが関西のトラ番のすごさか。いきなり、そう感じたよな。

 あの当時、大勢の前で話をする機会なんてあまりないから、うまくしゃべれないモノよ。みんな、そうだったよな。それが最近の若い人はどうよ・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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