法大での実績がプロでは通用せず、大下弘の指導でようやく開花。10年目に首位打者。85年には阪神日本一決める満塁弾！
文=大内隆雄、写真=BBM


「長崎慶一(81〜87年は啓二)」という名を聞くたびに筆者は「クソーッ」と悔しさがよみがえってくる。

　彼とは、大学入学年が一緒(69年)。向こうは法大、こちらは早大。こちらには谷沢健一、荒川堯、小坂敏彦、安田猛、阿野鉱二ら錚々たる面々がいるから、まあ、春も秋も軽く優勝だろうと思っていたら、春は明大に足をすくわれ、秋は法大に勝率で及ばずともに2位。1年生ながらこの法大の四番を打ったのが長崎だった。法大は、ここから4連覇。そのあとは慶大が3連覇するから、筆者はついに優勝を知らずに卒業することになった。4年在学してVなしは、早大では戦後初の珍事(なんてごまかし気味に書いているが、本当は屈辱そのもの。1学年上も1学年下も優勝を知っているのだから、呪われた69年入学組だった)。

　六大学野球に興味のない読者には寝言を聞かされるようなものかもしれないが、もう少しご辛抱を。長崎はこの1年秋に打率.278で打撃10傑の10位に食い込む大活躍。法大は3シーズンぶりのV。長崎を四番に抜てきした法大・松永怜一監督の選手起用が冴えたシーズンだった。「でも、僕は・・・