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数字から見るプロ野球 秋山翔吾はイチローを越えられるのか?

 

文=永山智浩 写真=BBM

6月30日終了時点で.382の高打率を残している秋山翔吾。6月も前月に続き月間40安打を達成



シーズン最多安打と打率4割の可能性は?


 西武の秋山翔吾が開幕から絶好調だ。

 3、4月は107打数40安打、打率.374でスタート。5月は119打数40安打、打率.336、6月に入るとさらに調子を上げ96打数43安打、打率.448という驚異的な成績を残した。

 5、6月ともに40安打を超えたが、2カ月連続で40安打以上をマークしたのは、94年5、6月のイチローオリックス)以来、2リーグ制となってから2人目の快挙だった。

 6月終了時で、全74試合に出場。今季の試合数は143試合なのでほぼ半分を消化した時点で123安打を放っている。単純計算すれば238安打に到達する。相性の良いチーム、悪いチームはあるが、5球団の残りの対戦試合数にあまり大きな差はなく、特に打率.468と打ちまくっているオリックス戦がまだ14試合もあるので、シーズン日本記録への期待は膨らむ。

 シーズン日本記録は10年に阪神マートンがマークした214安打(144試合)。パ・リーグ記録は94年、オリックスのイチローで210安打。この時はまだ130試合制で、マートンの130試合目では197安打だった。

 秋山の74試合でのマートン、イチローの安打数を見てみると、マートンは112本、イチローが121本で、秋山はイチローを2本上回っている。

 またマートンは前半72試合で109本、後半72試合で105本、イチローも前半65試合で109本、後半65試合で101本と、後半がやや少ないものの、ほぼ同じ本数を稼いだ。秋山は前半72試合で120本なので、今後どれだけ調子を維持していくかが注目される。

 秋山は開幕戦に4打数2安打の打率.500でスタート。4試合目には3割台に落ちたが、17試合目には.397と4割近くまで上げた。今季、絶好調の中でやや低迷したのは5月中旬から下旬。5月26日には.340まで下がったが、そこからまた巻き返し、6月30日現在.382まで戻している。

 シーズン最高打率は86年の阪神のバースで.389(453打数176安打)。現段階では、この記録も視野に入れることができる。94年のイチローは126試合目まで、バースの記録を上回っていたが、残り4試合で17打数4安打と失速し.385(当時歴代2位)に終わった。この時のイチローは63試合目に4打数4安打をマークし、打率.407と4割台に乗せ、その後69試合目までキープ。その後は3割9分前後の打率を維持していた。記録保持者のバースも65試合目から72試合目まで4割台に乗せている。

 もっとも遅くまで4割をキープしていたのが89年のクロマティ巨人)。開幕戦、4打数3安打でスタートし、57試合目(チーム58試合目)まで4割をキープ。その後、88試合目(チーム89試合目)で再び4割に乗せ、最終的に96試合目(チーム97試合目)まで4割台を保った。また、この日でクロマティは最終規定打席(403)に到達していた。

 秋山は、これらの「夢」も期待されるが、もう一人、1厘差と迫っているソフトバンク柳田悠岐も「夢」の可能性が十分にある。一番を打っている秋山よりも打席数が少ないため、安打数は及ばないが、打数が少ない分、安打を量産すれば秋山より率は上がっていく。高レベルでの首位打者争い、日本記録など、この2人から目が離せない。
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