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夏の甲子園で躍動した1年生野手を振り返る

 

文=永山智浩 写真=BBM

早実・清宮とタイプは異なるが、東京の強豪・帝京高の1年生時から甲子園に出場した杉谷拳士(現日本ハム



過去10年で見ると興味深い結果が…


 今年で100周年を迎える夏の高校野球。第1回は1915年(大正4年)で、当時は「全国中等学校優勝野球大会」と呼ばれ、現在の甲子園球場はなく豊中球場で行われた。ただ第1回は告知も行き届いておらず、開催を知らない学校もあったという。

 記念すべき大会での出場校は10チーム。優勝した京都二中(現・鳥羽)、準優勝の秋田中(現・秋田)、ベスト4の早稲田実(東京)、和歌山中(現・桐蔭)、その他、鳥取中(現・鳥取西)、山田中(現・宇治山田=三重)、神戸二中(現・兵庫)、高松中(現・高松=香川)、久留米商(福岡)、広島中(現・広島国泰寺)。

 このうち100周年の今年、出場を果たしたのは早稲田実と鳥羽の2校。開会式では、残りの8校の野球部員一人が100年前のユニフォームで入場行進をし、第1回優勝の鳥羽の主将が選手宣誓をする。

 出場できなかった8校はいまも野球部は健在で、今年も地方予選に参加している伝統校だ。

 また49代表のうち、第1回から地方大会に参加しているのは前記の2校の他、滋賀・比叡山(当時・坂本中)と徳島・鳴門(当時・撫養中)の計4校ある。

 さて伝統の早稲田実は記念すべき年に出場し話題となっているが、その中心は1年生の大物プレーヤー・清宮幸太郎。伝説の1年生プレーヤーと言えば、83年のPL学園の清原和博が挙げられるが、ここ10年間(05〜14年)で1年生プレーヤーとして活躍した野手で、プロ入りした主な選手の成績を活躍ぶりを見てみよう。

05年・中田翔(大阪桐蔭)
成績:5試合/打数20/安打8/本1/打点5/打率.400

06年・杉谷拳士(帝京)
成績:3試合/打数13/安打4/本0/打点4/打率.308

09年・西川遥輝(智弁和歌山)
成績:3試合/打数12/安打4/本0/打点3/打率.333

10年・溝脇隼人(九州学院)
成績:4試合/打数17/安打7/本0/打点4/打率.412

11年・石川亮(帝京)
成績:2試合/打数8/安打4/本0/打点0/打率.500

 中田は1年生のときからスラッガーとして注目されていた。1回戦の春日部共栄戦で五番を任され、7回には決勝本塁打を放つなど4安打、3打点の鮮烈デビュー。また不調だったエースの辻内崇伸(元巨人)をリリーフしチームを勝ちに導いた。準決勝で連覇した駒大苫小牧に敗れたが、田中将大(現ヤンキース)からセンター前にヒットも放っている。

 杉谷は初戦(2回戦)から八番打者として出場。準々決勝の智弁和歌山戦では9回表に4対8から8点を取り大逆転をしたが、その裏5点を取られサヨナラ負けをしたという壮絶な試合だったが、9回に逆転の適時打を放つなど3安打、3打点の活躍を見せた。西川は三番で出場し、1回戦では二塁打2本、2回戦では9回に逆転タイムリー二塁打を含む2安打と非凡なバッティングセンスを披露した。

 溝脇は二番打者として出場。1回戦で3安打、2回戦でも2安打。準々決勝まで進出したが、全試合に安打を放ち7安打、4打点とチームに貢献した。石川は捕手としてスタメン出場し、下位打線ながら1、2回戦ともに2安打と存在感を示した。

 5人の選手をピックアップしたが、中日に入団した溝脇を除き、4選手は日本ハム入りしているところが面白い。清宮は、清原や中田級に注目されている選手。最初の甲子園でどんな活躍を見せるか楽しみだ。
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