文=永山智浩 写真=BBM 山田から目が離せない終盤戦
8月21日から22日にかけて、4打数連続本塁打の日本タイ記録をマークした山田哲人。32本塁打はリーグトップ。打率.336もチームメイトの
川端慎吾に1厘差の2位。81打点も2位だが、チームメイトの
畠山和洋とは4点差。23歳、史上最年少での三冠王の可能性を秘めている。
また盗塁も26個で、こちらは
DeNAの
梶谷隆幸に4個差をつけている。過去、三冠王はのべ11人いるが、盗塁を見てみると、
中島治康(38年秋)3、
野村克也(65年)3、
王貞治(73、74年)2、1、
落合博満(82、85、86年)8、5、5、
ブーマー(84年)2、バース(85、86年)1、2、
松中信彦(04年)2。走ることを求められていない主砲だけに、三冠王の最多盗塁は82年の落合の8個。もし山田が三冠王を獲得すれば、過去にはいない異色の三冠王ということになる。
山田はトリプルスリー「3割、30本塁打、30盗塁」の可能性も大きい。残りは28試合で、山田の1試合の平均打数は3.94なので、残り110打数で計算すると17安打(打率.155)で3割に到達するので、打率はほぼクリアするだろう。本塁打はすでにクリアしていて、盗塁4個もいまの状況ならば到達するのも間違いない。
過去トリプルスリーを達成したのは8人いる(数字はリーグの順位、参考に打点も表記)。
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岩本義行 所属:松竹/1950年/打率.319(7位)/39本(3位)/34盗塁(5位)/127打点(5位) ・
別当薫 所属:毎日/1950年/打率.335(2位)/43本(3位)/34盗塁(3位)/105打点(1位) ・
中西太 所属:西鉄/1953年/打率.314(2位)/36本(1位)/36盗塁(1位)/86打点(1位) ・
簔田浩二 所属:阪急/1983年/打率.312(5位)/32本(5位)/35盗塁(3位)/92打点(4位) ・
秋山幸二 所属:西武/1989年/打率.301(10位)/31本(9位)/31盗塁(4位)/99打点(4位) ・
野村謙二郎 所属:広島/1995年/打率.315(3位)/32本(2位)/30盗塁(3位)/75打点(9位) ・
金本知憲 所属:広島/2000年/打率.315(5位)/30本(4位)/30盗塁(2位)/90打点(5位) ・
松井稼頭央 所属:西武/2000年/打率.332(3位)/36本(4位)/33盗塁(2位)/87打点(6位) トリプルスリーのカテゴリーでのタイトルホルダーは意外に少なく、50年の別当と53年の中西が本塁打王を獲ったのみ。山田は現在、本塁打、盗塁がトップ。初のトリプルスリーの全タイトル制覇の期待も大きくなる。
ここでトリプルスリーに一歩届かなかった選手も見てみよう。
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青田昇 所属:巨人/1950年/打率.332(3位)/33本(7位)/29盗塁(12位)/134打点(4位) ・
川上哲治 所属:巨人/1950年/打率.313(8位)/29本(8位)/34盗塁(6位)/119打点(7位) ・
長嶋茂雄 所属:巨人/1958年/打率.305(2位)/29本(1位)/37盗塁(2位)/92打点(1位) 青田は盗塁が1個足りず、川上と長嶋は本塁打が1本足りなかった。ただし長嶋は、一塁を踏み忘れた幻の本塁打があり、実質的には30本となり「幻のトリプルスリー」として語り継がれている。
その長嶋だが、打率は
阪神の
田宮謙次郎の.320に次ぐ2位。盗塁は
中日の
岡嶋博治の47個に次ぐ2位。若干差はついているが、順位だけを見ると、素晴らしい成績だった。長嶋は大卒ルーキー、山田は高卒5年目と年齢的には一緒の時期。三冠王&盗塁王&トリプルスリーというとてつもない大記録が生まれるか、山田から目が離せない終盤戦となる。(記録はすべて8月25日現在)