真っ先に名前が挙がるのが
岡本和真だろう。8月16日時点で127安打(セ・リーグ2位)、22本塁打(同5位)、68打点(同5位)と、プロ4年目を迎えて一気に覚醒(プロ入りから3年間の成績を大きく更新(計13安打、1本塁打、6打点)。6月2日の
オリックス戦(京セラドーム大阪)で読売巨人軍第89代四番打者となって以降も重圧をはねのけて(本人いわく「そもそも重圧を感じたことがない」そうだ)、コンスタントに成績を残し、早くも“四番”が似合う男になってきた。
そんな岡本につなぐリードオフマンとしてこの夏、著しい成長を見せている重信慎之介も忘れてはならない。50メートルを5秒7で駆け抜けるチーム屈指の俊足の持ち主は、2016年の入団以降、同年限りで現役を退いた
鈴木尚広氏の後を継ぐ走塁のスペシャリストとなることを期待され、1年目に5個だった盗塁も、昨年は倍の10個を記録するなど成長の跡を見せる。今季はその脚力を打線に組み込みたい首脳陣からレギュラー候補の1人に挙げられてキャンプ、オープン戦で積極起用を受けたが、打撃でアピールがかなわず開幕一軍を逃していた。
その後、下半身のコンディション不良を発症し、約2カ月間、ほぼ“ノーランニング”と持ち味を奪われる時期を過ごしたが、この期間に充てた肉体強化による体重6キロ憎が奏功。ドッシリと下半身を安定させる打撃フォームへの改造と相まって、イースタン・リーグで快打を連発。
これを評価されて6月14日に今季初昇格を果たすと、コンスタントに出場機会を伸ばし、
坂本勇人や
吉川尚輝らの故障離脱もあって7月29日の
中日戦(東京ドーム)で初めて一番に抜擢。「心の持ち様が変わりました。以前より落ち着いて試合に臨めています」と、精神的な部分でも成長した重信は、その後、打線の組み合わせによって二番にも座ることもあったが、ここまで打率.350、出塁率.366、直近5試合では猛打賞2度、マルチ安打1度とますますバットが振れており、堂々とリードオフマンの役割を果たしている。
チームの得点源は若き新四番の岡本だが、その得点力を最大限にいかすリードオフマンの働きは、終盤戦を迎えるこれからの時期、さらに重要な意味を持つことになりそうだ。
写真=BBM