大分商高では15年のルーキー左腕・笠谷俊介に続き、2年連続でのホークスからのドラフト指名となった。体の線は細いが、パワーアップへ意欲的であり近い将来が楽しみ。今宮健太、明石健志、福田秀平、牧原大成ら高卒内野手の育成で実績を残しているソフトバンクにあってまた一人、頼もしい逸材が加わった。 取材・文=岡本朋祐、写真=BBM 
10月29日、大分市内の同校で指名挨拶を受けた川瀬。福山スカウトから帽子をかぶらせてもらうと「実感が沸いてきた。早くソフトバンクに入団して野球がしたい気持ちが強くなってきた」と、目を輝かせた
プロ志望届の提出を見送った森下と切磋琢磨した3年間
日本一連覇を遂げたソフトバンクの『熱男』は、選手会長の三塁手・
松田宣浩の右に出る者はいない。ただ、かつてホークスで一時代を築いた「元気印」と言えば、
川崎宗則(今季はブルージェイズ在籍)の“専売特許”であった。ムネリンを幼少時から目標にしてきたのが、
川瀬晃である。
「WBCでも活躍していましたし、あこがれの存在。川崎さんのように走攻守3拍子そろった遊撃手になりたい。あとは元気も負けないようにしたい」
大分商からは左腕・笠谷俊介に次いで2年連続でのソフトバンクからの指名である。投手で旧チームの主将だった先輩の魂を継承したのが川瀬だ。大分商・渡邉正雄監督は入学時から川瀬ともう一人を、笠谷の下で英才教育。もう一人とは148キロ右腕・
森下暢仁。川瀬は当時投手で、同級生のライバルと「常に競わせてきた状況を作ることで、2人が刺激し合い、巨大なエネルギーを生むと期待した」(渡邉監督)。1年夏の甲子園も川瀬は背番号16、森下は11でベンチ入り。出場機会こそなかったが、全国舞台で貴重な経験を積んでいる。
笠谷がいた旧チームで、川瀬は二塁手のレギュラーを獲得。とはいえ、兼任投手としての顔も持っており、森下との競争は続いた。川瀬が主将に指名された昨秋の新チーム結成以降も「練習試合で森下が投げれば、川瀬はショート。ダブルヘッダーの第2試合は、逆のポジションに就く。投げているときも川瀬の打順(一番)を動かすことはなかった」と、指揮官は刺激を与えてきた。今春になって、181センチの未完の大器・森下が覚醒する。強豪校相手の練習試合でも快投を見せ一躍、ドラフト上位候補にリストアップされたのだ。この時点で「一番・遊撃」に固定された川瀬にとっても、大きな分岐点となる。
「すべては、森下のおかげです。森下がいたから今の自分がある」
その理由を担当のソフトバンク・福山龍太郎スカウトが説明する。笠谷、森下を目当てに大分商の公式戦、練習試合にはプロ関係者が集結した。
「笠谷がいたときから、後ろで守る川瀬は光っていた。バットの芯でとらえる能力は、高校生でもトップクラス。マウンドに立てば最速143キロ。制球が良いですから遊撃守備における、送球も安定している。まだ、体の線は細い(175センチ63キロ)ですが、体が出来てくれば必ず、川崎のように一軍の戦力として定位置を狙えます」
川崎も鹿児島工高からプロ入り当初は“ガリガリ”だった。右投左打の内野手で地元・九州出身の共通点。ドラフト当日に配布した球団資料で福山スカウトは「内野手としてのセンスは川崎二世」と評価・・・
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