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まだまだ技術評価は流動的
「49位以下」の成長度に期待




 最初に述べておきたいのは、得点により順位が明確化されているものの、その実力は拮抗しているということだ。そして今回は高校生選手を優先的に選んだ。その伸び率を重視し、潜在能力に期待しているからだ。例外を挙げれば、16位の入江達也(伯和ビクトリーズ)、23位の伊東亮大(日本製紙石巻)。この2人に関しては、社会人でありながらまだまだ洗練されておらず、実力を発揮しながらも伸び率が見込める選手だから上位に据えている。

 3位グループは特徴のある選手が多く集まった。山岡就也(広島新庄高)は上背がないものの、上のレベルでも通用しそうなスライダーを持っている。倉本寿彦(日本新薬)は守備に安定感があることから、打撃次第でおもしろい存在となりそうだ。33位の伊藤優希(駒大苫小牧高)から36位の西山天翔(熊本工高)までの4選手も、夏までにどれだけ伸びるか楽しみな存在である。

 4位グループになるとさらに流動的となる。このあたりの順位は補強ポイントに関して現場、スカウト間のすり合わせが重要。したがって、夏が過ぎたくらいの時期でないとはっきりした人選は出てこない。選手たちの今後の活躍しだいで、この顔ぶれはガラッと変わる可能性がある。

 次に最上位を見ていきたい。1巡目指名で重複しそうなのは1位の有原航平(早大)から5位の山崎福也(明大)あたりまでか。急激な伸びを示しているのが4位の横山雄哉(新日鐵住金鹿島)だ。まだ20歳と若く、魅力のあるサウスポー。1位指名を巡ってはさまざまな駆け引きが行われるのが常。場合によっては一本釣りのケースも出てきそうだ。

 13位の高濱祐仁(横浜高)以降の2位グループも実力者ぞろい。安定した力を発揮できれば「外れ1候補」にはすぐに昇格できるだろう。

 また、企画の都合上、48位までに区切るしかなかったが、ランク入りした選手以外でも好素材は多い。まず投手では188cmの大型右腕・金子丈(大商大)、最速151kg左腕・福地元春(三菱日立パワーシステムズ横浜)、17位の佐藤雄偉知とともに東海大相模高の右腕二枚看板を形成する青島凌也。野手では長距離砲の小野田俊介(早大)、三拍子を兼ね備える峰下智弘(近大)、佐藤卓也(東北福祉大)の名前が挙がる。

 また、実績には乏しいものの大化けしそうな要注意右腕もいる。進藤拓也(横浜商大)、佃勇典(拓大)、薮田和樹(亜大)、小林慶祐(東京情報大)。彼らの動向には今後も注視する必要がありそうだ。

 なお、社会人入りが濃厚な秋山翔夢(八戸大)、佐野泰雄(平成国際大)の両左腕、中野ジャスティン(関東学院大)、七原優介(名古屋大)の両右腕はリストから外したが、ランク入り選手とそん色ない実力を持っていることも記しておく。

 プロ野球における補強の三本柱は、

(1)ドラフト
(2)トレード
(3)外国人補強

 で、この3つに関して密なすり合わせが必要となる。(2)と(3)の期限は7月いっぱいであり、それが完了すればドラフトでの補強に関してもはっきりした方向性が見えてくる。各球団の今後の動向を見守りつつ、引き続き分析を続けていきたい。

PROFILE


なかむら・かずひさ●1947年10月6日生まれ。三重県出身。高田高から名古屋商科大へ進み、70年にリッカーへ入社して都市対抗2度出場。74年限りで引退後はマネジャー、コーチ、部長代理を経て82年に監督就任。元阪神・中西らを育て、84年にチームが活動停止。85年に巨人スカウトへ転じ、87年から9年間は近畿・中国地区を担当、06年から4年間は球団代表直属チーフスカウトに。岡島、元木、橋本清、高橋尚、阿部、野間口、亀井、山口、金刃、長野らの入団に尽力した。09年12月限りで巨人を退団し、ベースボールアナリストとして取材活動中。
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