週刊ベースボールONLINE


 

前半戦を快調にスタートしたカープだったが、交流戦に入って9連敗を喫するなど大きく失速。いったいチームに何が起きているのか。本誌担当記者が前半戦の戦いを振り返りながら、チームが陥っている負の連鎖をひも解く
構成=菊池仁志 写真=BBM



鬼門の交流戦で大失速

 過去9度の交流戦で勝ち越しは2度のみ(2008、09年)。広島にとっての鬼門は今季の勢いをもってしても乗り越えることができなかった。レギュラーシーズンでは最大で2だった連敗が、交流戦開幕からいきなり4連敗。6月3日の日本ハム戦(札幌ドーム)から始まった連敗は9まで伸び、15日のロッテ戦(QVCマリン)でようやく止まった。

 それでも7試合を残す12日の時点で交流戦の負け越しが確定。15日現在で4月11日以来守ってきた首位の座を巨人に明け渡し、阪神ともゲーム差で並ばれる。中日の姿もすぐ背後に迫ってきた。気が付けば交流戦直前で12あった貯金を吐き出すほどの転落ぶりだ。

 野村謙二郎監督も「打てん、守れん、打たれる」と、つながりを失った打線、勝敗の分かれ目の粘りをなくした守備、精彩を欠く投手陣を嘆く。5月半ばまで快進撃を演じてきたとは思えない状況に陥っている。

 野村采配が冴えわたっていた。「今季は調子の良いものを優先して使っていく」との宣言どおり、打順も日替わりで、交流戦前の42試合でラインアップは38通りを数えた。開幕戦の四番は昨季途中から加わり、14本塁打を放ったキラが務めたが、野村監督の肝いりで残留させたエルドレッドの状態の良さを買って、6試合目以降は四番に据えた。小技、足技が利く菊池涼介丸佳浩の同級生コンビには、前後はあるにせよ一・二番、二・三番で四番につなぐ役割を与えた。この3人がいわば打線の幹となる部分で、枝葉の選択に野村色が濃く出た。最も象徴的だったのが4月18日のDeNA戦(横浜)以降、一番に据えた堂林翔太だ。

 2012年、就任3年目の野村監督は、攻守ともに確実性に欠けるが、長打力と将来性に優れた入団3年目の堂林を「七番・三塁」で開幕スタメンに抜てきした。堂林にとって、その試合が一軍初出場。プロ初安打となる二塁打を放ったその試合で、早速、プロ初失策も記録した。その年、全144試合に出場するが、打率.242、14本塁打では、150三振、29失策のマイナス分を補うに足りない。「エラーや三振をする堂林を使い続けて、ファンからいろいろ言われた」と指揮官の心労も大きかっただろう。それでも我慢したのは・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング